『リズムアンドブルースの死』

古い本ですが、ブラックミュージックを知る上で良い本でした
レビューを書いてみました


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『リズム&ブルースの死』ネルソンジョージ著

「こうして、多くの市民は自分たちの願いをかなえた
ビッグバンドジャズの発達の過程で、
アフロアメリカの音楽的伝統は、アメリカ音楽の
商業的な浅薄さと見分けがつかないものになってしまった」
(リロイジョーンズ『ブルースの魂』)

ブルースの死について書かれたこの言葉を
リズムアンドブルースに置き換えても言えることに気づいた作者が
この音楽にとって重要であったラジオ文化史と、音楽産業の推移を詳細に渡って引用しながら
R&B~Soulの誕生と死について解説を試みた本

つまり黒人は同じことをまた繰り返しているのだ、と
黒人である作者が、同胞への警鐘として書いた
という側面が強い本でもある

アメリカという、移民&奴隷によって作られた特殊な国
そしてその特殊な国にもたらされた特殊なストレスがもとで生まれた
特殊な音楽たちは
常にその人種問題とリンクして発展、変化してきた
黒人には大きく2通りの生き方の軸があって
1)頑張って白人社会に割り込み、馴染む、同化主義
2)黒人だけの社会を別途作り上げ、白人社会と対等な関係を築く自立主義

もちろん2つのうち一方しか選べないのではなく
そのバランスが問題なのだが
少なくともビジネス音楽に関しては、
限りなく1の同化主義に傾きすぎてきた
何故なら音楽をレコードをビジネスにするためには
金を持っている白人たちが買ってくれるものを作らなければ儲けにならないから

70年代に入り、
音楽ビジネスが大きくなってくればくるほど
その傾向は強くなり
しまいには音楽はプロデューサーのものとなってしまう

プリンスはこの本の中でこう語る
「今日では、人々は歌などつくらなくなった。
つくられるのはサウンドであり、繰り返しでしかない。
プロデューサーが力を握ってから、こうなってしまったんだ」
(ここで言うプロデューサーはサウンドプロデューサーではなく
金を出す、ビジネス側の制作プロデューサーのこと)

この本は1988年に書かれた
HipHopがまた生まれ育って、大きくなってきた頃だ
だが、今の現状をみると、
HipHopもまたやはりブルース、R&B、ソウルなどと同じ轍を踏んでいる
何故なら今やヒットチャート上では
白人のHipHopも黒人のHipHopも区別がつかないくらいPopになってしまった
黒人の独自性はまた黒人によって白人社会に売られてしまったのか?


「アメリカ黒人の同化主義への執着が、自らを文化的自殺に向かってまっしぐらに突き進ませているのはあきらかだ」

彼の警鐘は20年以上経った今でも変わらない
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by jazzmaffia | 2010-02-13 01:50 | Recommend | Comments(0)

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