Movie/Book ストリートもの

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年末に見た映画:"Straight Outta Copton" 2015
年末に読んだ本:『苦役列車』西村賢太 著

全くもって色とジャンルが違うような2作だけど
「ストリート」という設定で同じ空気感を感じた
いずれも
頑張れど頑張れど這い上がれない者たちが主役だ

そしてそんな状況にどう立ち向かうのか、向かわないのか?
というのがストーリーの違いで
結果アメリカ的なものと日本的なものの違いとして出てきている
そんな2作を個人的にレビューしてみます

*****

まずは映画"Straight Outta Compton"のほうだけど
想像以上に話題になっている様子だったので、
久々に映画館に見に行ってきた
(『セッション』以来だね http://jazzmaffia.exblog.jp/21735365/)

冬休みな12.30に行ったせいもあるだろう、
若い、HipHopキッズな雰囲気の20代な人たちが多数を占める形で、
渋谷のシネクイントは満席
箇所箇所で笑い声や拍手も出る感じで
欧米っぽい空気感

内容はさして特筆すべき内容じゃない
20年以上前の伝説のHipHopクルーN.W.A.のドキュメンタリーで
白人による黒人差別が露骨に横行する街から這い上がっていく様
そして成功と共に確執も生まれていくが・・・
といういかにも「アメリカンドリーム」な映画だ
すなわち、すごくよく計算されて、うまく出来ている映画でもある

例えばG-Funk誕生前夜とされる時期のパーティーに使われている音楽が
P-Funkだったりするところとか、
SnoopDogg(そんな似てなかったけど)や
2Pacが出て来るくだりとか、
ニヤリな瞬間多数

あと、Eazy-Eの憎めない愛すべきキャラ、
そしてここぞ!というところでHIV感染が判明し・・・
という流れは俺も涙が止まらなかった
Ice Cubeを演じる実の息子や
Dr.Dreを演じる役者もすごく雰囲気出していてよかったしね

HipHop好きなら是非見ておきましょうw
という映画ではあるね
そうじゃない人にどう映るのかは、、、なんともだけど

うん、俺が見てて思ったことを記すと
20年も前の話なのに、未だ変わらぬ黒人差別
そして白人警官による黒人虐待ときに過剰防衛殺人
それらは20年前も今も同じという衝撃

そんなストリートの現状を「言葉」を武器にして世界に訴える
それが大衆に受け入れられて、レコードも売れに売れて、
彼らラッパーは結果裕福になる
そして豪邸に住む
結果ギャラをめぐって争いが起きる

これはうらやむべきストーリーなのだろうか?
この「這い上がったストーリー」は
「言葉を武器に闘ったストーリー」は
結果
スターを生んだだけで、
世の中を何も変えることが出来なかった
というストーリーでもある

つまり
ある意味スターも大衆も同じく病んでいることを
奇しくも示しているのではないか?
アメリカ式資本主義の限界を示しているのではないか?

もちろん
今の日本には
「言葉を武器に闘える」人が必要だ
だからこそ、このアメリカのサクセスストーリーを
うらやむべき美談として受け止めてはいけない

そんなことを思う
そんな感想です

*****

そして2011年度の芥川賞受賞作品『苦役列車』
これは、以前から読んでみようと思いつつ、
タイミング逃しつつ、やっと読んだ

そして、
これはなるほどの
日本的なストリート小説だったね

「私小説」というジャンルとされているが、
それがどういう括りか分からない
&この内容がどれだけ著者の実体験かも定かじゃないけど
ある種現代日本の資本主義社会の末端のストリート人種と言える、
若き日雇い労働者貫太の日々を追う話は
痛い感じがありつつ、それでもどうにか生きていく様に
意外にも悪くない読了感があった

アメリカ式資本主義~学歴、職歴中心な方面からすると、
「そこで立ち上がらないからダメなんだよ」
「そんな君でも一旗揚げれる仕事はあるんだよ」
的な批判と啓蒙な言葉が出てきそうだけれど、
主人公貫多の父親が性犯罪者として逮捕された、というキャリア
つまり犯罪者の息子、となると話は確かに違う

アメリカでも犯罪者の子供なだけで
一生を棒に振らざるを得ない色んな出費や社会の待遇があるようで
それが貧民をより貧民にしていくルーティーンが出来ている

現代日本も確実にその空気感がある
末端なそうした苦しい日々を送る民の悪循環をこうして見せられつつ
それでも自問自答しながらわずかな前向きな気持ちを見せてくれる感じは
現代に読まれてしかるべき要素のひとつなのかも?
と思った次第

そう、こちらのストリート在住な主人公は
はいあがれない境遇であり、
かつ
はいあがろうともしない
でも
満更でもなさそうなのだ
それが日本的なのかもしれない

実は今大事なのはこっちの感覚なのかもしれない
「格差」「格差」と叫ぶ輩は
人の幸せをお金でしか計れない人だとも言える
そして今世の中で表向き「格差を是正」するために行なわれようとしていることは
結果「格差を広げよう」としている内容のことばかりという矛盾

納税額がいくらかで人を計るのではなく
経済成長で優劣を計るのではなく
現状維持でも幸せじゃないか?という感覚は
これからの一つの指標だとやはり思うんだよね

そこらへんは昨年読んだ『資本主義の終焉と歴史の危機』に詳しいです
&レビューも書きました
http://jazzmaffia.exblog.jp/21500391


誰だって、俺だって
苦しい経済状況は嫌だろう
食べ物に困る状況は嫌だろう
その解決方法って実は色々あるはずなんだ
夢、資格、転職、結婚、収入、マイホーム、、、
そんなシンプルなもので幸せは計れないはずなんだ
・・・ということを
これからも勉強していこうと思う

学ぶことによる自分の成長
てのは大事にしたいね
金銭ではなく
自分の知識の成長戦略

それです今年もこれからも


・・・しかし俺文章長いな・・・

 
 



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by jazzmaffia | 2016-01-06 15:14 | SWING-OによるReview | Comments(0)

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