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10年前に行方不明になった僕のお爺ちゃんが見つかった話

先に言っておきます
実話じゃありません
ふとテレビをつけて車のCMばかり流れているのを見てて
妄想したストーリーを記しておこうと思います

「10年前に行方不明になった
僕のお爺ちゃんが見つかった話」

僕のお爺ちゃんは10年前に行方不明になったと聞いた
僕は4歳頃に会ったのが最後だからうろ覚えなんだけど
その頃はおとなしい紳士なイメージのお爺ちゃんだった

母親が言うには
「お爺ちゃんがある時ね、急に思い立ったらしくてこう言ったのよ」
『俺も人生先は長くない。最後に思い残したことがある。そう、俺は世界旅行をしたかったのがどうにも心残りなのだ。沢木耕太郎のように、ジャックケルアックのように、いや藤原新也みたいな旅でもいいな。
なぁに心配するな。今は電気自動車がある。なんなら自動運転もバッチリだよ。半年も旅をすれば満足して帰ってこれると思うよ』
そう言い残してお爺ちゃんは周囲の反対をよそに、小さな四駆の電気自動車で家を後にしたそうだ

最初の2年くらいはまだ連絡があったそうだ
facebookの更新もぼちぼちあったみたいだしね
最初は中国に渡り、ベトナムに入ってからはしばらく東南アジアをゆっくり周り、、、
というところまでは僕らも把握していた
「60代半ばにして元気だなぁ」と言いながら
皆が頭によぎる不安といくばくかの羨ましさをおさめていた

ところが徐々に連絡がこなくなり、
facebookの更新は途絶え、
最後の連絡はインド北部の街ルディアーナというところから届いた絵葉書
「元気にしてるよ、夢のカシミールまでもう直ぐだ、せっかくなんで山で修行しようかと思う」
それを最後にもう10年

「あの辺りは危険だしね、私はきっとなんか紛争に巻き込まれちゃったんじゃないかと思ってるの。だとしても格好いい死に様よね」と母は言っていた

お婆ちゃんも2年前に亡くなり
家族みんなも諦めてしまって、
お爺ちゃんは死んだものと思っていた
そんな折、警察から連絡があった
「ご家族のことでお話があります。お邪魔してよろしいでしょうか?」
そして直ぐ我が家に数人でやってきた

そして言葉につまりながらこう説明してくれた

「**様(僕のお爺ちゃんの名前)のと思われる車が発見されました
それもロシア東部の方で
『運転手がいないように見えるのに走っている車がある』
と通報がありまして、
(最近その手の、車載Ai誤作動による車の暴走事件が増えてきているしね)
ロシア警察の方で調べてみたところ
数日かかりましたがその車が発見されました
ずっと走っていたようです。目撃情報から100kmは東に進んでましたから。
で、非常にお伝えしにくいんですが、
**様はもう亡くなられていました。
現在死因及び、死亡日時をロシア当局と連絡を取り合いながら確認しているところです」

お爺ちゃんはついこないだまで生きてたってことなのか?
僕らは驚きこそあれ、涙が出るような感じではなかった
しかもロシアの東部といえばシベリアじゃないか
本当にず〜〜〜と何もないところなはず
あぁだから誰にも気づかれなかったってことか

「あ、一つお伝えするのを忘れていました
**様の車のナビの設定は日本、それもこちらの住所になっていたようです」

by jazzmaffia | 2017-11-07 01:39 | ひとりごと | Comments(0)

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