2008年 01月 26日
すぐそこにある希望
村上龍 著 「すぐそこにある希望」
これまた友人に「SWING-Oに絶対合うから」と勧められて読みました
ずばり、ビンゴでした!
俺も大手メディアのあり方には常日頃不満を感じていて、ニュースやレポート、ワイドショーなどを見る度に「馬鹿な視点だなぁ。。。」と思っていたんだけど、村上龍氏もずばりそのようで、かつ俺よりも大きなスケールで分析していた。
彼は、今の大手メディアのあり方を
「50年前の高度成長期のまま変わっていない」
という言い方で説明する。
例えば、NHKが、教員資格を取ったにもかかわらず、就職に困っている人をピックアップし、特集していたことに対し、
「高度成長はいろいろな負の部分を生んだ。たとえば疲弊する地方の農村や成長の波に乗り遅れた伝統工芸、それに汚染される環境や崩壊する大家族などだ。強力にドライブされる経済成長の陰には少なくない犠牲者がいる、という指摘をNHKはドキュメンタリーにして、視聴者を啓蒙してきた。基本にポジティブな経済成長が無ければ成立しない製作意図だ。今、多くの人が生き方に不安を持ち、どうやってサバイバルすればいいのか分からない中で、そういった「問題提起」には全く意味が無い」
と指摘する。
「レバノン侵攻より梅雨明けが重要なのか」という16章でも同様の、ピンボケしたメディア非難をしている。ある種この本の基本テーマとも言える。
若干アメリカを基準としているような批評にも感じられるけど、しかしどのメディアよりも日本を冷静に分析し、警鐘を鳴らそうとしているのが伝わってくる。
ただ、願わくは、日本のいい部分をたまには抽出してみて欲しかったね。いい話は海外ばかりだったから。このままじゃ救いようが無い。どんだけ彼の言うことが正しいと仮定しても、現実にそれを変えて行くには革命的な出来事を起こすしか無くなってしまう。
村上龍氏の、そういうエッセイがあるなら、見てみたいね。
by jazzmaffia | 2008-01-26 23:07 | SWING-OによるReview | Comments(0)