カテゴリ:SWING-OによるReview( 18 )

Live Album "Fried Pride Live in Luxembourg with L'Orchestre Pasdeloup" 2017

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"Live In Luxembourg with L'Orchestre Pasdeloup"
by Fried Pride 2017

久々に
#SOUL大学 なレビューをします
残念ながら昨年末に解散してしまっている #FriedPride 最終作として発表された、ルクセンブルクオーケストラとの共演ライブ盤を聴いた

2015年のグラミー賞のベストコンテンポラリーワールドミュージックアルバムを受賞した、アフリカはベナン出身のソウルな女性シンガーAngelique Kidjo"SINGS with Orchestre Philharmonique du Luxembourg"と同じアレンジャーGast Waltzingを迎えてのアンサンブルだそうで、ゴージャズかつ面白いアンサンブルで聴かせてくれるオーケストラアルバムだ

オーケストラとの共演というのは、シンガー、ミュージシャンにとっては一つの大きな夢、目標である人も多いだろう。人間の生演奏のみで奏でられる大きな(まさに)オケをバックに歌い、演奏するのは至福の時間になるはず。人間力の塊を音にする訳ですからね。電子機械と共に奏でる音には出せない温もりと表現がそこにはあるはずで、もちろんその分プレッシャーを感じる側に転じる人もいるだろうけれど。

結果、このオーケストラとの共演アルバムはFPの熱い声と美しいギターがのびのび泳いでるような印象のライブ音源になっている。個人的には
Tr-1 リバーサイドホテル
にまずやられる。日本を代表するシンガーソングライター井上陽水さんの曲を素材にジャズな感性とクラシカルな音が融合した音は実に心地よい

Tr-5 Take Five
面白い選曲のTr-9"Burn(紫の炎)" (ハードロックバンドDeep Purpleのカバー)の熱い歌&演奏もよかった

Angelique Kidjoのアルバムと併せて聴くとまた面白いかもしれない。個人的にはパーカッションやコーラスも加わった、より土着的な楽曲のそちらの方がむしろクラシカルに感じた。FPのこの音源は基本ジャズで、なんなら映画のサントラのような響きを感じた。

この音はまるで避暑地の響き
熱い日々が続く中、深呼吸と水と共に聴いてみるのをオススメします
あ、シャンパンかワインの方がいいかもしれないですが、、、

*****

、、、解散してしまった以上、オマケのような形での発表&プロモーションになってしまっているのが残念な名ライブ盤です





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by jazzmaffia | 2017-07-26 01:00 | SWING-OによるReview | Comments(0)

Movie : "Sign Of The Times"はプリンス映画の最高傑作だ!!

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映画"Sign Of The Times" Prince 1987年

殿下が召されてから9ヶ月経ってやっと見ました
他の
"Purple Rain"1984
"Under The Cherry Moon"1986
"Graffiti Bridge"1990
はすでに見ていたが、
いい部分こそそれぞれあるけれど
映像全体で「いい!」とまでは思っていないものだった

そんな中、一番触れられてもいない作品で、
最近まで存在すら知らなかった映画がこれだ
同名の2枚組アルバムと同タイトルの
ライブ〜ミュージカル映画といった趣

女性の主役、
ダンサーのCATが彼氏と揉めるとこから始まり
そこからはライブ中の演出の中で次々と事件が起きていく
当然Princeも彼女にすり寄っていき・・・
そんな各所の演出を、絶好調のバンドアンサンブルで盛り上げていく
中でもSheila Eのセクシーさとプレイの格好よさが半端ない
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途中には"U Got The Look"で
これまた当時とびきりセクシーだった
当時Princeの恋人と噂されたSheena Eastonも出てくるし
女性の出演者がどれも魅力的

そしてプリンスの歌も演奏も
いやバンドもキレッキレ
特にホーンセクションのアンサンブルが半端ない

Prince & The Revolutionを解散させた直後に組まれたバンドなはずなんだが
Sheila E他数名は古株だとしても
一体いつリハーサルをやってグルーヴを固めてきたんだ?
毎年のようにアルバムを発表していた時期だし
ましてやアルバム"Sign Of The Times"は
バラしになった3種のアルバムから集められたものと言うではないか

あ、そもそもそのように言われているけれども
このライブ映画を見たら、
ストーリーと曲がリンクしているので
この映画の着想を得た殿下が
それら3種のアルバムをボツにしたのかもしれないな?

なんにせよ、バンドのクオリティーが半端ないです

見所は色々あるけれど
個人的には
■殿下がダンサーCATの股下をスライディングで抜けていくところ
スカートをもぎ取っちゃうんだよね
これは見ててもドキッとする部分だ

■曲中("It's Gonna Be A Beautiful Night"だったかな)で
殿下が、Sheila Eとハイタッチしたと思ったら
グルーヴそのままに殿下がドラムを叩きだすシーン
このハイタッチの時〜そこからマイクを持つSheila Eがまた素敵なんだな

などなど、ホント見所が多いです
箇所箇所はいるちょっとした臭い演出も、
楽曲とリンクさせるためのものに見えてくるので
他の映画のような苦笑にはならない

当て振りなのはSheena Eastonがでてくる"U Got The Look"ぐらいで
他は全部ライブ!
ヨーロッパツアーで撮られたものらしいです

この方向性の映画だと
ロックバンドの
Talking Heads"Stop Making Sense"1983
が名作としてすでに高い評価があるんだけど
&俺も大好きなんだけど
それと同じくらいの評価をしていい音楽映画だと思うな

きっとこれからプリンス再検証が進んでいく中、
浮かび上がってくる映像作品となっていく気がします

"Sign Of The Times" DVD

このオープニングにもあるように
"It's Gonna Be a Beautiful Night"のオーウィーオってコーラスが
映画の通奏低音になっている感じもいいです
w

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by jazzmaffia | 2017-01-22 16:03 | SWING-OによるReview | Comments(0)

Movie : 『Knife In The Water〜水の中のナイフ』

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"Knife In The Water~水の中のナイフ" 1962年
ロマンポランスキー監督
Krzysztof Komeda(クリストフコメダ) :音楽

これはいい!かなりの俺好みな映画だ
ポランスキーと言えば、な「チャイナタウン」1974年
最近では「戦場のピアニスト」2002年
などは好きだったけど
このデビュー作は知らなかった

菊地成孔「ユングのサウンドトラック」という映画紹介の著書にて
「ジャズと映画・見るべき10本」の中の三つ目に紹介されていて
見てみた次第だけど
まずのっけから音楽が最高でやられました
そして急いでレコード化されてないか調べたら
案の定最近レコード化されていて、かつ在庫が残っていて
急いで入手した次第
(残念ながら7インチは売り切れだったみたいだけど)

監督のポランスキーとともに、音楽・ピアノのコメダもポーランド人
まだ60年代は共産党な時代で、
西欧文化の輸入に対してはかなりの検閲が入っていたようで
音楽で唯一許されていたのがジャズだという
実際、五木寛之の60年代の小説などでもポーランドのジャズシーンが出てきた記憶がある
ジャズ好きにとってはポーランドジャズ、通称ポーリッシュジャズというのは
ジャズの純粋培養の地と言うイメージがあるようだ

Bill Evans的でもあり、Giant Stepsの頃のColtrane的でもありつつ
でもどこか寒々しい感じの楽曲、演奏
それがこの湖を舞台にしたモノクロ映画に実によくあっている

そしてストーリーの秀逸さにもすごくやられた
けん怠期かな?という夫婦が車を運転して湖に向かう
その途中にヒッチハイクな若者をピックアップして始まる、
たった3人しか登場しないストーリー

夫婦仲悪いのかな?
いやこれが普通な夫婦なのか?
いややっぱり仲悪い
・・・とハラハラする二人の関係の描写の秀逸さ
アメリカ映画だったらもっとシンプルに良し悪しを画像に明確に出すはず

若妻役のヨランダウメッカのキュートさにも目を奪われる
若者役のジグムントも、夫の執拗な意地悪に乗ってきたりはむかったりして
結果夫と仲良くなっていく、、、のかな?、、、いや???

そして場所は湖
殺人でも起きるのかな???
と思いきや、、、、

その結果は???
お互い影を背負うことになりつつも、
なんとハッピーエンド!!!

その、「影のあるハッピーエンド」っぷりがいい!!
「二人は幸せに暮らしましたとさ」っていうんじゃないとこがいい
ゴールインなんて嘘だよ
常に人は
喜びの裏には影がある
影の果てには喜びもある
そんなもんだと思っている俺からしたら
アメリカ的超絶シンプルなハッピーエンドは胡散臭くてねぇ
(もちろん影のあるいい映画も沢山あるけどね)

そんな「影」を絶妙にバックアップする音楽がこのコメダの音楽って訳だ

いいよ
オススメです

オープニングからいいです


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by jazzmaffia | 2017-01-12 15:03 | SWING-OによるReview | Comments(0)

Movie : 『永い言い訳』『シン・ゴジラ』

今更「シンゴジラ」
公開になったばかりの西川美和監督最新作「永い言い訳」
の二本、見てきました


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『永い言い訳』西川美和監督
映画HP http://nagai-iiwake.com/

西川監督とは、監督デビュー作「蛇イチゴ」2002年の頃から知っているから
もう15年の付き合いになるのか
、、、付き合いなんて言っても最近は新作が出る際に連絡取り合うくらい
あ、前作『夢売る二人』ではピアノで絡ませて頂きました、、、

な話は置いといて、公開になったばかりの新作です
これまで通りの、彼女の、人の中に潜む闇をほじくりだす様な作品です
初期は彼女の地元である広島を想像させる、田舎を舞台にしたものが多かったけど
前作『夢売る二人』から舞台は東京〜都会に

今作の主人公は本木雅弘演じる小説家
彼のことを監督は
『自己評価がすごく低い人、
それが故に色んな問題、誤解を産み出す人』
と主人公&本木雅弘を重ねて説明してましたが、それ故か
俺自身とすごく被っている感覚に襲われて
「何故俺のことを知ってるんだ?」という感覚で見るハメに
つまりすごく「いやぁな感じ」を胸に見るハメになりました
(それがどの部分かはここでは述べませんが 笑)

でもその「いやぁな感じ」を払拭するのが
竹原ピストル演じる大宮さん
彼のストレートすぎる存在は、
ピストルそのものでもあり、
そのストレートさでもってかろうじて「いやぁな感じ」が中和され
少しずつ話は前向きに進んで行くんだけれど
ストレートすぎる彼の家庭でもやはり問題はあり・・・

・・・そんな、日常に潜む「膿み」を描き出すスタイルは
新作でも絶好調です
「何故俺のことを知ってるんだ?」という感じは
タイプ違えど、村上春樹の諸作にも言えるあの感じ
でも春樹よりは社会との距離感は近い、そんな感じ

監督の作品の音楽はこれまでずっと
カリフラワーズ〜モアリズムの中村氏がやってきてたんだけど
(そのお陰でおれも近いところにいました)
今作では遂に離れたようで
そのせいか、より、都会を感じる音ではありました
手島葵の曲などもすごくハマってました

是非映画館で、我々の日常の「膿み」をご覧になってくださいませw


*****

『シン・ゴジラ』庵野秀明 監督
映画HP http://www.shin-godzilla.jp/

こちらはレビューするまでもなく、既に大ヒット映画です
公開が7.29とのことなので2ヶ月半も経ってるのに、
今日も席はかなり埋まってました
横でこそこそ話してるのを聴くと「もう5回目」なんて言ってる人もいましたね

凄くテンポの速いセリフ&展開
政治批評性もありつつ、科学的批評性もありつつの深みのある感じ
東京〜神奈川の街がどんどん破壊されて行くリアルさ
面白さのポイントは色々あげられるでしょうが

そもそも映画ゴジラをちゃんと見たこと無い自分としては
あとこういうパニック系な映画はそもそも好きじゃない、という自分としては
「うまく出来たエンタメ」とまでは思いますが
この大ヒットという理由までは何とも説明出来る程キャッチ出来たものがありませんでした

だって「ディープインパクト」「インディペンデンスデイ」などの形でもって
すでにアメリカを中心に定番となっている型です
(歴史考証は出来てませんが、日本もその歴史に深く関わってるのかもしれませんが)

この手のものの存在理由で聴いたことがあるのは
「咄嗟の時に、攻撃的な決断を下せるほうが有利だ」
という危機管理の啓蒙のためにアメリカが始めたという話です
その真偽は分かりませんが、
他の国でどれだけ「流行遅れ」となっても
アメリカは常にこうした「パニックもの」を作り続けてきた
というのはそんな需要があるから、必然性があるからでしょう
という意味では上記の「危機管理の啓蒙のため」という話はあなどれない気がします

常に国内に命をおびやかす危機が蔓延しているアメリカという国だからこそ
常に戦争を世界中でやってきているアメリカだからこそ
な側面だと思うんですがね

こういう常軌を逸した生命体「ゴジラ」によって攻撃される
そこから始まる政府のバタバタと
そこから始まる次のステージに向かう日本

大きな事件、無理矢理なテコ入れでもないと
日本はもう変われないのでは???
という空気感が今の日本にはある

大ヒットの秘密はそういうことなんでしょうかね?
事実、俺も知っている街が破壊されて行く様を見るのだけは
少し快感がありましたから・・・

 
*****

いまのところこんな温度感と考察で
#SOUL大学 はぐいぐい講義を進めてます
何か文章をどんどん、どんどん書きたいモードになっちゃってます

最新講義は
#SOUL大学 04
〜サザエさんエンディング曲はパクリか引用か〜
日本の音楽シーンの歴史をすっごくかいつまんでですが、
01-04の講義にまとめてます

どうして巷に溢れるポップスはどれも同じに聴こえるのか?
が分かります
マキタスポーツの「すべてのJ-Popはパクリである」よりも一歩踏み込んで記してますよ
この量、内容でひと月1000円は大安売りだと思いますよ

https://salon.synapse.am/salons/soul/timeline

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by jazzmaffia | 2016-10-15 23:17 | SWING-OによるReview | Comments(0)

Book : 『沈まぬ太陽』レビュー

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『沈まぬ太陽』山崎豊子 著 1999年
こんなスタンダード?な長編を読んだのは初めてかも?
文庫本で5册にもなるこの長編を読んでみようと思ったのは、
義父母宅や親戚宅でよく見かけたから
興味はあまり無かったが、1度は読んでおいたほうがいい、気がした
かつ読み始めて知ったが、最近になってドラマ化も進んでいるとのことだったしね

3週間ほどで5冊を読了
仕事のはざま、新幹線移動中などの時間を駆使しました

やはり好みな内容ではないけれど
引き込まれる&実に良く出来ていることは確か
著者山崎豊子さんが晩年の70代に頑張って取材して書き下ろしたと聞くと
著者のエネルギーの凄さにビックリだ

内容はズバリ日本航空(JAL)という大企業を舞台に
全うなスジを通したがために10年以上も海外を島流しさながらにたらい回しにされた、
実在の男、この本の中では恩地という名前で出てくるその男を中心にした話だ

今であれば速攻
「転職のすすめ」をされるまでもなく、
転職をしたであろう境遇で
そのままひどい境遇に耐えていくうちに
いつしかまたリベンジのチャンスが訪れるが・・・
という流れは、現代的では既にない

が、大企業に巣食う不条理は
著者もあとがきに書いているように
何十年経っても全く変わっていないという事実
そして俺のような市民には全く分からない、
政治と経済の癒着しまくった複雑な利権主体な世界を知ることが出来る、
限りなくノンフィクションなドキュメンタリーでもある

これを読んだ俺が思うのは
・・・つまるところ
俺は音楽をやっていくしかないなぁ・・・
てことだね

政治や経済にクチを出すには
現代のそれは
あまりに複雑な数字のゲーム化した世界であるし
しかもそのお金本位な「アメリカ式資本主義」は
衰退に向かっているという事実をふまえると
あちら側には踏み込んでも仕方が無いな
としか思えない

もう残り少なくなってしまった陣地を奪い合うゲームの最中、
新たな陣地をバーチャルに作り出すゲームの最中
そこに後出しで介入するよりは
新たな発想の生き方
すなわち資本主義以前の生き方を見直す時期に来ている現在
こうした企業と国が引き起こす理不尽の数々・・・
・・・というお話は、
20世紀にあったお話
という史実としては意味があると思うけどね

まぁ、
就職したことの無い身として
こうした大企業や政治に巣食う事実を勉強するには
時折この手を読むのは悪くないとは思いました


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by jazzmaffia | 2016-09-05 18:16 | SWING-OによるReview | Comments(0)

Movie : "Graffiti Bridge"


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"Graffiti Bridge" 1990
そりゃもうひどい言われようだ
追悼ということでいろんなプリンス特集本が出ている訳だけど
どれ一つとしてこれを評価しているものはない

実際この映画のサントラはリアルタイムで購入したものの、
プリンスのセンスに翳りを感じた作品でもあった
それでもいい曲は多数ある
賛否あれど、俺はこのなかのヒット曲の
M12 "Thieves In The Temple"
は好きだし、アレンジがイマイチなだけで(苦笑)、よく出来た曲だと今でも思うし
M4 "The Question Of U"
もシンプルでいい曲だ

そんなところで、
映画をこの度初めて見てみた

そうね、テーマは崇高なものではある
皆が一つになれば争いは無くなる
そして楽園にたどり着けるはずだ
必要なのは愛

金をとるのか、光をとるのか
・・・なテーマ

それをライブハウス同士の争いをベースにした話になっていて
そこに崇高な天使的な役割の女性としてイングリッドチャベスが出てくる訳だが
パープルレインにおけるアポロニアこそセクシーで魅力的だったけど
チャベスがどうしても魅力的に見えないのが勿体ない

実際ヒロイン役はマドンナからキムベイシンガーまでオファーしたが
いずれも断られて、そうなったという話もある
もしヒロインがそこらへんの当時キラキラしていたスターが出ていたら、
もう少し違う印象になったかもしれない

一方で
P-FunkのボスGeorge Clintonや
Staple SingersのMaves Staplesなどの大先輩から
この後大プレイクする当時13歳のTevin Campbellも出てるし
音楽的には美味しい要素は満載ではある
映画には復縁?したJam&Lewisも出てるしね

実際他のマフィア〜ドラッグ売人系の黒人映画のストーリーの在り方と比べて
それらの雑な設定&ストーリーと比べても
実は全く遜色はないし、
むしろテーマは崇高だったりするし
マイナスイメージなスタートだったからか
個人的にはそこまでひどい気はしなかった

この時期のプリンスのビジュアルも実際格好いいし
ダンスもキレキレだ

あと、噂では
試写会では評判よかったんだが、
いざ公開されたら更に編集されて
現在のイマイチとされるものになってしまっていた
という話もある

、、、、と精一杯フォローをしてみたが
やはりこの現状の作品で一見に値するか?
と言われると、そうではないかな 笑

でもそんな
争いごとはやめよう!
というテーマをもとに
どうやって音楽エンターテイメント映画にするか?
をプリンスなりに必死で頑張って作ってみた心意気は買いたいね

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このアルバムジャケットの左上の女性が
ヒロイン役のチャベスです
魅力的に見えます???笑

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by jazzmaffia | 2016-08-18 02:32 | SWING-OによるReview | Comments(0)

Book : 『羊と鋼の森』レビュー

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『羊と鋼の森』宮下奈都著
先日読んだのが『絶対音感』だったところに
「最近売れてる本でピアノ調律にまつわる小説があるよ」と聞いて
早速購入して、2日で読み切った

うん、ちゃんと基音の歴史も記してあるし
(モーツァルトの頃が422hzだとか)
調律に関しても軽く、だけど平均律や純正律に触れてあったし
かなりちゃんと取材をしたと思われるしっかりした土台の上に話が進む
そして森の音に耳を傾ける、主人公の少年の心象風景もいい感じではある

なんだけど、
素敵な話ではあるんだけど
クリーンすぎる感じがあり
(性的なエッセンスがほぼゼロ)
大成功する話ではないんだけど
アメリカ資本主義/「夢」をベースに生きていくことを基調として話が進むし
ってあたりがひっかかり
結果
三浦しをん「舟を編む」
の読後感と同じなんだよねぇ

ちゃんと、それもかなりちゃんと取材をした上で、
「ピアノ~ピアノの調律師を素材にしたら
今の大衆に響くもの、
大衆が今、足りてないと感じてるところを埋めるもの
が書けるのではないか?
といった著者の気持ちが通奏低音としてずっと聴こえてくる感じ
つまりマーケティングで書かれている感じが気になってしまうまま終わってしまうのだ

結果
それは消費される商品としての小説となってしまう
うまくこの素材をポップな料理にしたなぁ!という印象のほうが強い
つまり「うまい!」という感想しか残らないのだ

ま、多くの人にとっては、
「だから」分かりやすくていいんだろうけどね
俺は、何か違うんだよなぁ
帯には「村上春樹のドライさと湿り気」
と書かれていたけど、
村上春樹的なのは
ひとりでいろいろ妄想しているところ、くらいかな
春樹のもう少し深いところに響く感じとは全然違うね

これも本屋大賞かぁ
「舟を編む」もそうだったもんなぁ
本屋大賞が好む感じなんだなぁ、てのはすごく分かった
この宮下奈都、そして三浦しをん、原田マハ、有川浩から宮部みゆきまで、
最近のヒット女性作家に俺が感じる共通点だね
「うまい!!!」「よく調べました!」
、、、でも、、、て感じ

先日、本好き先輩とも話したけど
ひとことで言うなら
「浅い」
という印象ですね
女性作家に限らず、
今売れてる本って、そういうものがほとんどな印象です
あ、音楽も一緒か

でも、それでもフォローするならば
今回は俺の本業に関する話でもあり、
かつ「よく調べて」くれているおかげで、
ピアノの調律を頼む上での注意点や
「そっか、ペダルの具合もリクエストしてよかったんだ!」
なんて今更なことを知ったり、な側面もあり
それに関しては読んでよかったなと思った次第


PS
「天下のリーゼンフーバーのピアノ」となってたのは
ほぼ間違いなくベーゼンドルファーのことを差しているんだろう
ま、少し悪く言っているので、敢えて名前を誤摩化したのかなと思われます



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by jazzmaffia | 2016-05-30 01:06 | SWING-OによるReview | Comments(1)

プリンス名曲選2 "Money Don't Matter 2 Nite"

殿下が召されてもう1ヶ月以上経ってしまった
あらゆる音楽誌に載っている追悼特集を見ながら
改めて殿下の凄さと面白さを再確認する日々

そして話すネタとしても本当に面白い
人それぞれの、世代それぞれの「プリンス」のイメージがあるから
話が尽きないんだよね

そんな中
時折、自分にとっての殿下の名曲を紹介していくことにします

まず自分にとっての第一の名曲は、
召された直後のBLOGにも記したように
"Pop Life"(1985)
だね
→記事はこちら http://jazzmaffia.exblog.jp/23087695/

続いて思いつくのが・・・


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"Money Don't Matter 2 Night"
by Prince and the New Power Generation (1992)
https://youtu.be/L7FffaOqqYA
この頃のプリンスは
ぐいぐい時代を牽引していた側だった80年代に比べて
少し迷走し始めて、
結果、時代に乗っかる側になってきた
という印象の頃だね

前作サントラ"Graffiti Bridge"(1990)に
名曲こそあるものの、全体的に
無理矢理なヒップホップ感を感じたりしたし
ポップセンスが少し陰ってきたように思ったりしたし
結果映画もろともセールスがイマイチっぽかったし

、、、といった印象の時に
ふわっとリラックスした、
殿下のポップセンスが全開のアルバム
"Diamonds And Pearls"(1991) がリリースされた
そして久々の、
かつ結果生前最後の全米No.1ヒット"Cream"も生まれ
続くアルバムタイトル曲も3位と大ヒットして
、、、という中の4枚目(厳密には5枚目?)にカットされたシングルがこれ

これまでの殿下にはなかった、
ミドルのメロウでメロディアスな作品
なんつうか、当時はSimply Red的な空気も感じたかな

これが凄く好きになった理由は曲の良さはもちろんだけど
なんと日本でレコーディングされた曲
と知ったからだ

ツアーで来日していた狭間に
「レコーディングしたい」と日本のワーナーの担当者に伝えて
空き日に急遽レコーディングされたのが
この曲と"Strollin"だったらしいが
いずれも、実にリラックスしたスムーズでいい感じの曲

人づてで聞いた話だけど
殿下はいろいろ注文がうるさくて、わがままで、
大変だなぁ、、、と思っていたが
いざライブを見て、作品を聴いたら
ただただ圧倒されて、、、
感動しちゃった、らしい

なにがあったか知らないけど
この、日本で録られた曲は、
ふと我に返った殿下が、何のエグい装飾も施さずに
さらっと自然体で録ったんだろうなと

なにがあったか知らないけど
「金のことはもういいじゃないか」
「金のために、石油の利権のために子供を戦争に送り出すなんて馬鹿げてるよ」
なんてシンプルなメッセージを、
ブラックジャックにはまって身を滅ぼしそうな男の姿に託して歌っている

うん、素朴でいい曲だ

俺はいつも
この曲を聴くと
ネオンだらけの東京の繁華街を歩いている気持ちになる



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by jazzmaffia | 2016-05-28 12:58 | SWING-OによるReview | Comments(0)

Book : 『絶対音感』レビュー

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『絶対音感』 最相葉月 著
俺は一応、絶対音感はある
半音くらいは間違えたりするものの、
基準音無しにおおよその音は当てることが出来る
幼稚園くらいからピアノは習っていたし
所謂絶対音感教育を受けたのかどうかは覚えていないが、
ソルフェージュと呼ばれる、先生が弾く音を譜面に書くという授業は
結果中学くらいまでずっと受けていた

でも、だからプロのミュージシャンになれた訳では全くない
(そもそも「プロのミュージシャン」ってなんだよ?て話はまた後日w)
クラシック系ならいざ知らず、ポップス界に絶対音感を持つ人なんて
ほんの一握りの人しかいないはず

むしろ大事なのは
所謂相対音感であり、
ハーモニーをキャッチ出来る能力であり、
音質の違いを把握出来る能力であり、
多くの音が同時に鳴っているところで、特定の音を拾える聴力だね
それは年齢関係なく、練習量に比例するものだ

言うなれば
料理人が、ある料理の調味料を当てることが出来るように
野球選手が、バットの振りの少しの違いを、ピッチングフォームの少しの違いを当てれるように
後天的に鍛えた技術のほうが重要な要素を占めている、と俺は思っている

実際俺も20代では聞き分けられなかった、
ブルース〜ファンク〜ジャズ系の音楽で、それぞれの楽器が何をしているのか?
を聞き分けられるようになったのは20代後半から少しずつ、て感じだ
ましてや音質に関しての耳は、
30代以降、トラック制作を本気でやり出してから習得した

そう、いくつになっても耳は成長するんだ

*****

っていう俺にとっての「絶対音感」とは
この本の中で多くのインタビューが紹介されているように
「あるに越したことはないけれど、
なくても大丈夫じゃないか?」
という程度の代物ではある

一般論でよくあるように
「絶対音感があると、
あらゆる街の騒音が音符に聴こえて大変」
なんてことは特にない

既に皆さんがやっているように
うるさいレストラン〜居酒屋で、特定の人の声だけを聞くことが出来る能力
というのは誰しもが持つもの
絶対音感を持っていたとしても、
ちゃんと、聴きたくない音にシャッターを降ろせばいいだけだ
ま、絶対音感を持つに至る過程に問題があると(スパルタ教育を受けたとか)
話は違うのかもしれないけどね

そんな、今までふわっとしたトリビアぐらいにしかなっていなかった、
「絶対音感」という概念を
正面から音楽家に、脳科学者に、実際に絶対音感教育をしてきた教師に
取材を取りつつ、歴史をひもときつつ、語られた本でした

個人的に面白かったのは
1)日本で絶対音感教育が普及した理由に
*明治維新後の西洋音楽教育をしていく上で、過剰な西洋音楽コンプレックスの元に進められた
*第二次大戦時に、敵の飛行機の音を聞き分けたりするのに使えるということで、普及した
という点だ
後者がなるほど・・・な話だし
前者は未だに、子供に絶対音感を持たせようとするマダムたちの心理に受け継がれているね

2)音感と調律はもちろんリンクする、ということで
調律の歴史も色々記されていた
A=440hz(摂氏20℃で)の調律は1939年の国際規約で決められた
1780年頃のモーツァルトのピアノは422hz
1885年ウィーン国際基準音会議で決められたのは435hz
1890年にスタインウェイのピアノが457hzになったこともあった
*純正律〜平均律についてももちろん触れられていた

→もう、こうなってくると、A=440hzで正確な絶対音感を持っていたとしても
全く役に立たないよね?

そんな、『絶対音感』という概念を軸に、
そもそも音楽に感動するってどういうことなのか?
音楽って何なのか?
と掘り下げて行く本です
興味のある方は是非ご一読を!
文庫本で読みやすくなってますよw




*****

俺のようなポピュラー音楽をやっていく上では
聞き分ける耳こそ大事だけど、
絶対音感というのは特にマストではない

むしろ今問題なのは調律だよね
どんなプロ歌手も歌の音程をコンピューター補正してしまう時代
それも大抵平均律という調律でされてしまう

でもハーモニーが気持ちいい、身体にも共鳴するのは
ピタゴラス調律〜純正律のほうなのだが
あまりに平均律な音楽に幼少期から大人まで耳慣れしすぎているため、
共鳴していて本来「気持ちいい!!」と言うべきものを
まさかの「気持ち悪い!」と反応する人が増えているそうなのだ

例えるなら、
化学調味料に舌が慣れすぎていて
オーガニック素材で作ったハンバーガーよりも
ファーストフード系のハンバーガーのほうが美味い!
と言っちゃうのと同じだ

そんな顧客なんだから、
そういうものを提供しておけば儲かるよ!
というのが資本主義の果ての現在だ

・・・・・
って言いつつ、
コンピューター上で制作されることが基本となった今の音楽業界では
上記のことを説明していくのは実に難しい
良心の塊のようなアーティストも、
普通に平均律で機械的な補正をしている時代
どのようにこの感じを伝えて行けばいいものやら・・・





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by jazzmaffia | 2016-05-11 22:56 | SWING-OによるReview | Comments(0)

Album : "Monk On Monk" by T.S. Monk 1997

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"Monk On Monk" by T.S. Monk 1997
Lalah Hathawayが父と向かい合ったライブ盤を出した
素晴らしい歌&演奏の曲もいくつかあるんだが
(冒頭の父親ダニーの曲"Little Ghetto Boay"など)
全曲ライブなのにフェードアウトだったりして、
歌もちょっと線が細い感じがしてね
(あくまで父親と比べてだけど)
つまるところ親父さんはやっぱ凄いなぁ・・・
なんていう印象になってしまった

そして親が偉大なアーティストってことで
ふと思い立って調べてみたのがこの、
ピアニストThelonious Monkの息子のT.S.Monk(Thelonious Monk Jr.)
最初の有名なキャリアはなんとディスコのアーティスト
"Bon Bon Vie"などのヒット曲も出したし
それは知っていた

が、その頃の数枚のアルバム以降の彼の活動を知らなかった
1982年に父親を、1984年には母親を亡くしたあと
彼はドラマーとしてジャズ作品を多数出していたのだ
よくよく調べると、若い頃にはMax Roachなどに師事して
ジャズドラムを本格的にやっていたようだ

そしてこのアルバムは、
彼が父の作品と向き合った作品集
全曲父の楽曲のカバーで、彼はドラムを叩いている
歌は歌っていない
実にスムーズなジャズドラムを聴かせてはくれる
が、残念ながら父のピアノのようなインパクトは、ない

そりゃあ仕方ないよなぁ・・・
なんて思いながらも
偉大なる父と正面から向かい合おうとしている姿を浮かべると
なんだかウルウル来ちゃうんだな

ゲストボーカルを迎えつつの
Tr-4 "Dear Ruby" 原曲 "Ruby My Dear"
なんか特にウルウルくる感じでいいねぇ

色んな人生があるさ

・・・
なんて思いながら
ラム酒を飲みながら
明日のライブに備えるとするかぁ・・・
 
 
 


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by jazzmaffia | 2016-02-18 02:58 | SWING-OによるReview | Comments(0)