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Book : 『色彩を持たない多崎つくる〜』レビュー

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『色彩を持たない
多崎つくると、
彼の巡礼の年』 村上春樹 著 2013 (文庫本2015)

村上春樹の新作長編は、
いつも文庫本が出てから読んでいる

そして現時点での新作だけど
うん、またぐいぐい引き込まれる話だったな
今作もまた、
<2010年代の「今」必要とされる物語>
というものを意識された話だなと思いながら読んだ

そんなニュアンスがありつつも、
でもきっと20年後に読んでも入って来る、
そんな神話的な構造に今作もなっていた

仲良し5人組の1人が
突然他の4人から、理由も説明されずに、
ただただ絶縁を言い渡される
その不条理に対して、どう立ち向かっていったのか?
もしくは流されていったのか?
という前半

でも、よくよく後年調べていくと
傷ついていたのは自分だけじゃなかった
相手には相手の事情があった

当たり前の話だけど
絶対的な「悪役」「敵」というものは存在しない
その人にはその人の事情があり
時に人知を越えた、解析不能な事由も存在する

そんな
系譜学的な側面と、カミュ的な不条理も折り込みつつ
そして毎度のことながら
サウンドトラックと言うべき基調となる音楽も存在する
今回はリストの『巡礼の年』、またクラシックだね
まるでサントラつきの小説
だから映画化を基本的に断っているのかもしれないな 
ついiTunesだけど買ってしまった
レコードでも聴いてみたいな・・・

そして、相変わらずの例え話のうまさ
例え話が入って来ない小説は多々あるけど
村上春樹の例え話はすごく気持ちよくイメージ出来るものが多い

今回は例えば
空っぽな自分でも必要とされることがあるかもしれない、という話の例えに
『夜に活動する孤独な鳥が、どこかの無人の屋根裏に、昼間の安全な休息場所を求めるように。鳥たちはおそらくその空っぽの、薄暗く鎮まりかえった空間を好ましいものとしたのだ。とすれば、自分が空虚であることをむしろ喜ぶべきなのかもしれない」

再会した友人宅にあった、手作りの、いびつで不思議な格好をした、でも手触りに親密な感触があったマグカップについて
「家族の中だけで通じる温かい冗談のように」

などなどが印象に残ったかな

*****

などなどありつつ、
今回珍しく(?俺の印象だけど)、
著者が伝えたいことをハッキリと言葉にした箇所がいくつか見受けられた
『人の心と人の心は調和だけで結びついているのではない。それはむしろ傷と傷によって深く結びついているのだ。痛みと痛みによって、脆さと脆さによって繋がっているのだ」
と主人公つくるは魂のいちばん底の部分で理解した、とあった

あとつくるの最後のほうのことばにも
「僕はこれまでずっと、自分のことを犠牲者だと考えてきた。・・・でも本当はそうじゃなかったのかもしれない』
と出て来る

あと全体的に何度も
「記憶をどこかにうまく隠せたとしても、深いところにしっかり沈めたとしても、
それがもたらした歴史を消すことはできない」

という言葉が繰り返され、
それがこの本のテーマだということを読者に印象づけようとしていることがわかる

この、いろんなふわっとしたことを
村上春樹なりの
緻密な設定と構成と文章力で
今までより「具体的に」言語化してみた小説、という印象

その
以前の作品と比べて主題が「明確」寄りな分、
古くからのファンには物足りないかもしれない、
でも今初めて手に取る人にはいいかもしれない

つまるところ
今の俺には響く、よき物語でした
ほんのちょっとだけその「具体性」が
うまく書かれすぎている感じが残念だったけどね

あ、最近の山田詠美の小説に思ったこととも同一かも
うますぎる、と感じるのもまた一つの障壁となるんだ、て話
 

 

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by jazzmaffia | 2016-01-31 14:21 | SWING-OによるReview | Comments(1)

ゴシップ好きなのは偏差値教育の賜物?

ご存知のように
2016年となってから
日本のメディアを騒がせているのは
ゴシップネタ

SMAPのあれやこれ
ベッキーとゲス極川谷のあれやこれ
挙げ句の果てに政界でも金の問題で甘利大臣が失脚
それに関してとやかく言いたい訳じゃなくて
何故ぼくらはゴシップが好きなのか?
に一つの視座を与えてくれる話を読んだので
軽く紹介しておこうと思った次第

以前からちょくちょく紹介している、
俺が最も支持している思想家(という肩書きが的確かは分からないが)
内田樹氏の「邪悪なものの鎮め方」に出ていたこと
つまりは氏のブログにも出ている
(氏の本の半数近くは、このBLOGの文章を、テーマで絞って編集者がまとめたもの)
http://blog.tatsuru.com/2008/06/23_0906.php

もう8年近く前に書かれた言葉だけど
基本日本社会のあり方は変わってないので、
すなわち今でも有効な分析だと俺は思う

この現象は
偏差値教育の賜物だ
というのだ

確かに、このブログにも記されているように
偏差値というのはすなわち、
学習能力の優劣が問題ではなく、
対象となる人々の中で、自分がどれくらいのポジションにいるか?
という数値だ
そしてそこに重きを置かれるということは
自らの順位を上げるには
1)普通に頑張る
2)他の人の能力を下げる
の大きく2種がある訳だが
2のほうが当然楽なわけだ
それも勝手に没落してくれれば
「あの人と比べれば自分は幸せだ」ということにもなろう

例えば東大の学力低下なども時々ニュースになっているが
これも間違いなく偏差値教育の賜物だ
<一定の点数を取った人しか入学させない>
とすると年度によって入学生のばらつきが出るわけで
学校「経営」のためには
<偏差値いくつ以上の面々を合格とする>
という流れになってしまうよね?
そうなると、一定の勉強はするとしても
自分以外の人の学力が落ちてくれれば、
大して頑張らなくても東大合格となってしまう、訳だよね
何かの不正が発覚して他の人が不合格となって
自分が繰り上げ合格なんかになれば大喜びなわけだ
・・・でもそれって??? て話だよね

実際ここで語られる「学び」「学力」の話でなくても
巷に溢れている数字や確率はほぼみな
何がしかの統計を元に割り出された平均値をもとに
自分がそのどこにいるか?を判断する、という形だ

ま、尿酸値がどう、血糖値がどう、という医学的なものは意味があるとしても
学力であったり、収入であったり、と言った社会的な数字に
そこまで絶対的な意味はない、はず

でも偏差値教育のせいか
言い換えると一億総中流社会な感覚のせいか
自分がどこにいるのか?
「無事」中流あたりにいるのか?
というのをつい気にしてしまう
確かに安心感あるもんね、それが証明されれば

そんな我々の感覚が
こうしたゴシップであり
悲惨な事件であり
を望む望まないに関わらず
「つい」見てしまう原因になっている

そんな視座
俺はすごく納得です

どんなものごとも因果がある
系譜学だね

自分に不可解な出来事も
元をたどれば、自分も大なり小なりそこに加担している
俺はそういう考え方を支持してます

でもこの便利な、支配層からしてもすごく有効な
偏差値教育、的な考え方は
早々には無くならないだろうねぇ
俺自身にも相当巣食ってるからねぇ

ほぼ日勉強です
ほぼ日思考と試行です

*****

BGMは1984年というキラキラポップ全盛な時期に出た
黒人ジャズバイオリン奏者John Blake の作品
メンバーは
McCoy Tyner :piano
Cecil McBee :bass
などなど豪華です
A-4"The Other Side Of A World"
などはメロウグルーヴで、まるでMJ "I Can't Help It"みたいでもあって
DJでも使えそうで、いい感じですね

先日のRock-Tee放出レコードからの逸品でしたw

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by jazzmaffia | 2016-01-30 15:39 | ひとりごと | Comments(0)

音楽評論って今こそ大事じゃないかな?

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古〜いミュージックマガジンを買ってみた
1982年1月号、34年も前ってことか
表紙に描かれているのはPrince、
ちょうど"Controversy~戦慄の貴公子"がリリースされたタイミング

そして特集は『いま なにがファンクか』
多くのライターの方から画家の方?までが文章を寄せている
1982年、ファンクが来てる
という空気感で組まれた特集なんだけど
ほとんどの人がP-FUNK~Zappを推していて
P-FUNK一派が日本にもやっと根付いてきた頃だったのを伺わせる
(実際は、P-FUNKはこの頃ほぼ終了なタイミングだったんだけどね)

こういう、
「ファンクってなんだ?」
「ジャズってなんだ?」
「ヒップホップってなんだ?」
という種類の問いと答えていく話法は好きだ
最近この手のものを読むのが面白い
なんなら古いものほど面白い

1982年、この頃はまだまだ音楽評論が多大な影響力を持った時代
それに対して常にアンチなミュージシャン/アーティストがいたのも確かで
「音楽をジャンルに縛るんじゃない!」
「評論の前に音楽は存在しているんだ!」
的なことをインタビューで答えているというパラドックスをよく見かけたもんだが

2016年現在は、
すっかり音楽評論というものが影響力を失ってしまった印象
それと同じ下降曲線を描いたのがCDセールス
評論家の方が語りやすい、語りたくなるような、
いろんな歴史を背負った作品というものも減ってきた
過去の偉人、名作の影響を自称すると、
盗作で訴えられて敗訴する時代になっちゃったからね

そんな時代の移ろいを感じつつ
そんな今だからこそ
音楽評論というものの必要性も感じる今日この頃
いろんな関連性が分かって聞くと
好きなものはより好きに
興味無かったものもひょっとしたら好きになる
これぞ大人の快楽なんです

なわけで
今回の記事にも出ていた、
個人的にはあんまし好きじゃなかった、
Bootsy"Ultra Wave" 1982 
に針を落としてみた
そして
1982年の空気感を雑誌で感じながら聴くと
凄く面白く響いてきた
そんな深夜です

・・・
PS
宿題がたまってるときに限って
脱線してしまうなぁ・・・
な深夜です


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by jazzmaffia | 2016-01-29 23:49 | ひとりごと | Comments(0)

『注意すること』について

誰かに『注意すること』って
ずごく難しい時代になった

「静かにしてください」
「ここで煙草吸うのやめてください」
などのマナーから
子供に注意する
間違いを指摘する
などのある種の教育に類することまで

いろんな注意があるけれど
どれも今は皆控えめ、
というよりも触らぬ神に祟りなし状態
見て見ぬ振りが一般的

教育から人付き合いのHow To的な話でも
間違いの指摘よりは良いところを褒める
というのがスタンダード

「お前はまだ何も分かってない」
「いいから黙ってこれをやれ!」
的な言葉は今や死語なのではないか??

いやいや
残ってるところには残ってる
最近自宅の改修工事をやっていたんだけど
そこにいた職人達は明らかな上下関係があり
「だからお前はダメなんだ」
という言葉が飛び交っていた

あとちゃんとしたレストランなどでも同じような言葉は飛び交ってるね

このような言葉を皆はどう思うんだろう?
俺は、
すごくいいことだと思う

例えば改修工事をやっていた鳶職の人たちで言うと
ちょっとしたミスや手抜きで
自分を含めた人の命に関わるような仕事をしている訳で
そこに、緊張感を若手に持ってもらう為には
そうしたやり取りは必須な気がするんだ

現場による?

一般的にはそうとされる現在だけど
俺はそうは思わないな

俺のいる音楽の世界も
いまや皆が皆、すっかり丸くなり
昔飛び交っていた怒号は今や全くと言っていい程見られない
それが残ってるのは、
エンターテイメントの世界だと舞台ぐらいだろうか
それも例えば80歳になる蜷川幸雄演出の舞台とかに限られるだろうけど

俺は、
丸いほうだと思っているが
言葉を選んで
「君はあの曲のグルーヴを出せてるつもりみたいだけど
出せてないよ」
と注意したことがあるんだが
それを、
5年前に言ったその注意を
未だ根に持ってる後輩がいてビックリした
それはつまり、間違ってるのは俺だと言いたい、らしい

う〜ん、
なんていうかな
俺は俺のことを大正解だなんて思ってなくてね
まだ見ぬ境地ってのが存在するよ!
てことが伝えたかったんだけどねぇ
まぁ、俺の言い方も悪かったんだろうけどね
何にせよ、ダメ出しをし辛いご時世だなと思った次第

そうね、
ま、ふわっと楽しく生きていくのをベターベスト
とするならば
ダメ出しの存在しない人付き合いでいいんだろうけどねぇ

自分で自分がビックリするような
そんな成長を体験していきたいのなら
俺は
「注意すること」
「注意されること」
がもっと目に付く中に生きていくべきだと思うんだな

ま、俺はね


ま、しばらくは
還暦になるくらいまでは
ことばを選んで
ソフトな注意を心がけよう

そっから先は
・・・
もっと毒づいてみようかな??? 笑


どう思う?
ピジョン君?

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by jazzmaffia | 2016-01-26 00:46 | ひとりごと | Comments(0)

SWING-Oのライブ/DJいろいろあります

全国的に低温な1日ですが
すなわちいまが冬の寒さのピーク
あとは少しずつ暖かくなっていくってことでもありますね
実際1日は日に日に長くなってきています
北極圏のエスキモーなどの人々は、
既に春に向けての準備が始まっていると聞きます

そんなワクワク感を胸に、
2月までの
SWING-Oのライブ・DJ出没情報を記しておきます

1.26(火) @三軒茶屋 来音食堂
"裏MFS 来音食堂一時休業前スペシャル"
20:00~ 2:00 / 2,500yen 鍋&酒飲み放題付き
■DJをしてます/レコード放出もあり
https://www.facebook.com/events/1683858378562868/

2.6(土)@渋谷Family
"The Thing"
23:00 ~ all nite / 2,000yen
■45trio feat.Kelpieにて出演!
今回はR&Bメドレーを披露しちゃいますよ!!!
45trio (SWING-O : key / SUNAPANNG : bass / 久保正彦 : drums)
https://www.facebook.com/events/179002789125489/

2.11(木・祝日) @恵比寿BATICA
■"My Favorite Soul" 7周年!!!
21:00~ all nite / 2,000 yen
スペシャルゲストにTina , SONOMIを迎えます!!
45trioをバックに披露するスペシャルライブをお楽しみに!!!
https://www.facebook.com/events/1693323090914805/

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2.13(土)@大阪シャングリラ
■Azumi(ex.wyolica) ワンマンライブ
詳細は
http://azumi.asobisystem.com/

2.16(火)@横浜カモメ
■Battle Of Study
Stevie Wonderを課題曲にしたジャムセッションPt2
http://www.yokohama-kamome.com/

2.25(木)@京都磔磔
■近藤房之助
久々のサポートです
http://www.fusanosuke.net/

2.26(金)@渋谷duo
■Azumi(ex.wyolica) ワンマンライブ
詳細は

2.27(土)@群馬前橋DYVER
■Flying Kids ワンマンライブ
詳細は
http://fk6.jp/

・・・
他にも記せないライブもあるしね 笑
いやぁ2月はほとんどライブとそのリハーサルになりそうです
どこかでお会いしましょう
&是非声をかけてくださいね
ま、大概怖くて声かけれない、と言われますが 笑

他3月以降もいろいろあります
もろもろこちらをチェックしてください

SWING-O ホームページ
http://swing-o.info/
 
 
 
 

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by jazzmaffia | 2016-01-24 15:03 | 最新Live情報 | Comments(0)

Musical : "JAM TOWN"

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Musical : "JAM TOWN" 2016
現在上演中

タモリさんじゃないけど
俺もミュージカルはそんな好きじゃない

でも友人の西寺郷太氏が音楽監督をやっているというのと
氏の紹介で一度飲む機会があった、
演出の錦織一清(少年隊)
ダンスの振り付けをYOSHIE氏がやっているというので
先日見学してきた

20分の休憩を挟みつつ、
計3時間近くある、なかなかのボリュームだったけど
結構あっと言う間な印象の
コミカルで楽しいミュージカルでしたね

郷太氏のポップな音楽は冴えてるし
YOSHIEさん自ら踊る姿は本当に素晴らしいし
筧利夫さんは面白いし
そして舞台はかな〜〜り豪華なセットになっていて、
設定の横浜の港な感じが凄く出ててよかった
・・・などなど色々あるけど
個人的にはやはり歌に耳を取られたね

準主役の松浦雅は特に良かったね
ある種絢香的な歌い方をする子だったけど
音程がバッチリで、歌い方もなかなかのもので
寂しい設定の役で切ない曲を歌っている様が凄くよかった
後で郷太氏に聴いたら
まともに人前で歌うのは初めての機会なんだそうだ
それには驚いたね
既にミュージカルは経験済み&CDも出したりしてるんだと
てっきり思ってしまったくらい

他、エリアンヌは流石のソウルな歌いっぷりで
ゴスペルっぽい曲やソウルな曲での歌はバッチリだったし
今回初めて見たダンドイ舞莉花の歌も凄くよかったな

*****

郷太氏によると、
3年近く前から準備してきた舞台とのことで
流石こうした舞台ものは、仕込み方のスケールが違うね
平日昼間なのにお客さんは結構入ってたしね

彼とも話したけど、
こうした「練りに練ったエンターテイメント」というのは
これからもずっと残っていくはずで
我々も大事にしていかなければいけないものだよなぁ・・・
と思った次第

もちろん舞台現場ならではの
俺の知らないタイプの苦労も多数あるみたいだけどね 笑

*****

まだまだ1/30まで舞台は続くようなので
興味が湧いた方は是非是非見に行ってください

詳しくはこちらのHPをご覧あれv
http://www.jamtown.jp/


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by jazzmaffia | 2016-01-23 03:06 | SWING-OによるReview | Comments(0)

Book : 『銃・病原菌・鉄』レビュー

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『銃・病原菌・鉄』ジャレド・ダイヤモンド著
"Guns,Germs,And Steel" by Jared Diamond 1997

どれくらいだろう?
2,3年かかって、やっと本日読了した

読んでいて面白くて、情報量が半端ない場合、
時間をかけて読むことで自分の身体に入れて行こう、
というスタンスなんだけど
、、、にしても時間をかけすぎたかもね

学問的には歴史科学というものだそうだが、
冷静な視点で、あらゆる学問・研究結果の情報を集めて
総合的に人類史を解読して行くという流れが目から鱗で
この視点は今後の俺の中に間違いなく活きていくであろうものとなった

「欧米人はさまざまな物資を作り出してニューギニアに持ってきたが
ニューギニア人たちはそうした物資はなにも作り出さなかった」
のは何故か?というニューギニア人の問いがきっかけで書かれたそうだ
そして
「欧米人はアメリカを征服したが、
どうしてその逆がなかったのか?」
というのも大きな出発点だ

そして著者の視点が素晴らしいのは
通常は
生物学的に欧米人のほうが賢かった、
という説明になりがちだが
身体的にも脳科学的にも欧米人と原住民とは生物学的な差異はない
という研究結果を元に話が始まるところだね

では何故このような欧米人が世界を席巻できたのか?
ということを
そこで取れる農作物、家畜化可能な動物の有無、
そして何より大きいのが地理的な要因
そうした事実を検証していくことで
実に明快な説明を与えてくれるのだ

例えば、欧米人が北アメリカのインディアンや
南アメリカのインカ帝国を滅ぼした理由は
てっきり欧米人が武器や戦術にたけていたからとこれまで思っていたが、
実はアメリカ原住民の死因の大半が
欧米人が持ち込んだ病原菌にあったという事実
これはこの本の中でも一番驚いたことでもあるね

その他、面白い話は多岐に渡っているが
印象に残った話の一つが、
「技術は必要に応じて発明されるのではなく
発明されたあとに用途が見いだされることが多い」
という話だ

もちろん今生きている技術をさかのぼっていくとルーツの連鎖が分かるわけだけど
世界の色んな遺跡を見ていくと、
太古に文字を持った社会が生まれていながら、
それを捨ててしまった民族がいたりする、
せっかくの造船技術と航海技術がありながら
途中で捨ててしまった中世の中国の話も面白い

あとキーボード配列の話も面白かったね
今打っているこのキーボードもご多分にもれず、
QWERT配列と呼ばれるものだけど
これはそもそもタイプライター時代に
あまり早く打たれるとタイプライターが絡まってしまうので、
「少しでも打ちにくい配列を!」ということで考えだされた配列なのだそうだ
確かに英語などでよく出て来るS,R,Tなどが左側だし
母音もバラバラに置かれている

ところがタイプライター技術が発達し、絡まることが無くなった頃には
すっかりこのQWERT配列が定着してしまっていて
今更違う配列に変える、ということが起きなかったというのだ
著者が言いたかったのは、
今生きている技術というものは、
最善最強のものが残っているとは限らない
ちょっとしたタイミングや環境の違いで、
たまたま残っているものも多々あるのだ

・・・などなど、
おもしろ深い話が、膨大なデータと共に痛快に出て来る、素晴らしき本です

この後にもこの路線を深めた本がいくつか出てるようだね?
また頃合いをみて
手に取ってみるとしよう



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by jazzmaffia | 2016-01-13 00:43 | SWING-OによるReview | Comments(0)

Movie/Book ストリートもの

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年末に見た映画:"Straight Outta Copton" 2015
年末に読んだ本:『苦役列車』西村賢太 著

全くもって色とジャンルが違うような2作だけど
「ストリート」という設定で同じ空気感を感じた
いずれも
頑張れど頑張れど這い上がれない者たちが主役だ

そしてそんな状況にどう立ち向かうのか、向かわないのか?
というのがストーリーの違いで
結果アメリカ的なものと日本的なものの違いとして出てきている
そんな2作を個人的にレビューしてみます

*****

まずは映画"Straight Outta Compton"のほうだけど
想像以上に話題になっている様子だったので、
久々に映画館に見に行ってきた
(『セッション』以来だね http://jazzmaffia.exblog.jp/21735365/)

冬休みな12.30に行ったせいもあるだろう、
若い、HipHopキッズな雰囲気の20代な人たちが多数を占める形で、
渋谷のシネクイントは満席
箇所箇所で笑い声や拍手も出る感じで
欧米っぽい空気感

内容はさして特筆すべき内容じゃない
20年以上前の伝説のHipHopクルーN.W.A.のドキュメンタリーで
白人による黒人差別が露骨に横行する街から這い上がっていく様
そして成功と共に確執も生まれていくが・・・
といういかにも「アメリカンドリーム」な映画だ
すなわち、すごくよく計算されて、うまく出来ている映画でもある

例えばG-Funk誕生前夜とされる時期のパーティーに使われている音楽が
P-Funkだったりするところとか、
SnoopDogg(そんな似てなかったけど)や
2Pacが出て来るくだりとか、
ニヤリな瞬間多数

あと、Eazy-Eの憎めない愛すべきキャラ、
そしてここぞ!というところでHIV感染が判明し・・・
という流れは俺も涙が止まらなかった
Ice Cubeを演じる実の息子や
Dr.Dreを演じる役者もすごく雰囲気出していてよかったしね

HipHop好きなら是非見ておきましょうw
という映画ではあるね
そうじゃない人にどう映るのかは、、、なんともだけど

うん、俺が見てて思ったことを記すと
20年も前の話なのに、未だ変わらぬ黒人差別
そして白人警官による黒人虐待ときに過剰防衛殺人
それらは20年前も今も同じという衝撃

そんなストリートの現状を「言葉」を武器にして世界に訴える
それが大衆に受け入れられて、レコードも売れに売れて、
彼らラッパーは結果裕福になる
そして豪邸に住む
結果ギャラをめぐって争いが起きる

これはうらやむべきストーリーなのだろうか?
この「這い上がったストーリー」は
「言葉を武器に闘ったストーリー」は
結果
スターを生んだだけで、
世の中を何も変えることが出来なかった
というストーリーでもある

つまり
ある意味スターも大衆も同じく病んでいることを
奇しくも示しているのではないか?
アメリカ式資本主義の限界を示しているのではないか?

もちろん
今の日本には
「言葉を武器に闘える」人が必要だ
だからこそ、このアメリカのサクセスストーリーを
うらやむべき美談として受け止めてはいけない

そんなことを思う
そんな感想です

*****

そして2011年度の芥川賞受賞作品『苦役列車』
これは、以前から読んでみようと思いつつ、
タイミング逃しつつ、やっと読んだ

そして、
これはなるほどの
日本的なストリート小説だったね

「私小説」というジャンルとされているが、
それがどういう括りか分からない
&この内容がどれだけ著者の実体験かも定かじゃないけど
ある種現代日本の資本主義社会の末端のストリート人種と言える、
若き日雇い労働者貫太の日々を追う話は
痛い感じがありつつ、それでもどうにか生きていく様に
意外にも悪くない読了感があった

アメリカ式資本主義~学歴、職歴中心な方面からすると、
「そこで立ち上がらないからダメなんだよ」
「そんな君でも一旗揚げれる仕事はあるんだよ」
的な批判と啓蒙な言葉が出てきそうだけれど、
主人公貫多の父親が性犯罪者として逮捕された、というキャリア
つまり犯罪者の息子、となると話は確かに違う

アメリカでも犯罪者の子供なだけで
一生を棒に振らざるを得ない色んな出費や社会の待遇があるようで
それが貧民をより貧民にしていくルーティーンが出来ている

現代日本も確実にその空気感がある
末端なそうした苦しい日々を送る民の悪循環をこうして見せられつつ
それでも自問自答しながらわずかな前向きな気持ちを見せてくれる感じは
現代に読まれてしかるべき要素のひとつなのかも?
と思った次第

そう、こちらのストリート在住な主人公は
はいあがれない境遇であり、
かつ
はいあがろうともしない
でも
満更でもなさそうなのだ
それが日本的なのかもしれない

実は今大事なのはこっちの感覚なのかもしれない
「格差」「格差」と叫ぶ輩は
人の幸せをお金でしか計れない人だとも言える
そして今世の中で表向き「格差を是正」するために行なわれようとしていることは
結果「格差を広げよう」としている内容のことばかりという矛盾

納税額がいくらかで人を計るのではなく
経済成長で優劣を計るのではなく
現状維持でも幸せじゃないか?という感覚は
これからの一つの指標だとやはり思うんだよね

そこらへんは昨年読んだ『資本主義の終焉と歴史の危機』に詳しいです
&レビューも書きました
http://jazzmaffia.exblog.jp/21500391


誰だって、俺だって
苦しい経済状況は嫌だろう
食べ物に困る状況は嫌だろう
その解決方法って実は色々あるはずなんだ
夢、資格、転職、結婚、収入、マイホーム、、、
そんなシンプルなもので幸せは計れないはずなんだ
・・・ということを
これからも勉強していこうと思う

学ぶことによる自分の成長
てのは大事にしたいね
金銭ではなく
自分の知識の成長戦略

それです今年もこれからも


・・・しかし俺文章長いな・・・

 
 



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by jazzmaffia | 2016-01-06 15:14 | SWING-OによるReview | Comments(0)

2016年最初のひとりごと

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2016年
明けましておめでとうございます


毎年元旦恒例の
公開ひとりごとをつらつらと記して行こうと思います

因みに昨年の公開ひとりごとはこんな感じ
http://jazzmaffia.exblog.jp/21437880/

新春なんとなく一発目にかけたBGMは
Money Mark "Change Is Comming" 2001
うん、我ながらよいチョイス 笑

そうね、昨年あたまに掲げた目標は
『ピアノとラップ』の制作とリリース
でしたが、実現したのは
6.25誕生日イベントの
『#ピアノとラップ #ピアノとダンス』
あと現在進行形な
『Sound Cloud上のオープンマイクセッション #RapWithPiano 』
まででした

特にイベント『#ピアノとラップ #ピアノとダンス』
かなりの手応えがありつつ、大成功となりましたな
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制作&リリースってのはね、
やはり今の時代徐々にいろいろ音楽業界の形態が変わってきて
CDセールスが難しくなってきているのもあり
俺の一存だけではうまく進みませんでしたな
『ピアノとラップ』の作品集に関しては
焦らず機が熟した時にという感じです

でも代わりにというか、俺のライフワークというか
2015年も無事に7inchをリリース出来たのは嬉しかったね

SWING-O remix works 1

その他2015年の音楽トピックは
*Rhymester新譜"Bitter,Sweet&Beautiful"タイトル曲を制作
*Flying Kidsの制作〜ツアー参戦
*堂本剛アルバム制作〜ツアー参戦
*岡本定義さんとの制作〜ライブ参戦&飲み友に
*Augusta Camp 2015に参戦
*土屋アンナアルバム制作〜ツアー参戦
・・・あたりが主なところかな?

他音源リリースに関してはこちらにまとめてます
http://swing-o.info/works-2015/

そう、個人的に2015年は
いい感じで間口を広げることが出来た1年だったなぁという印象です
本も沢山読んだし、
レコードは7inch収拾&和物収拾熱が着火してしまったし、
奄美大島に行けたし、
いろいろ楽しい1年でした

あ、一方で上半期には少し辛いこともあったんだけどねぇ
ま、それはまたいつか記せればと思っております

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*****

で、2016年の抱負、なわけだけど

ちょいとここ数年は「マーケティング」「市場の動向」というものに
少し振り回されてきたような印象がある
もちろん仕事のためには必要なことだと今でも思ってるけれど
自分主導の作品はまた違うよね
特にこれからの時代は
自分の「趣味性」「特異性」というものを
全面に出せたほうが意味があるし、結果仕事にもつながる

そのように2015年1年間いろいろやってきて思っている

なので2016年のざっくりとした抱負をまとめると

仕事の幅は更に広げて行く
自分主導の音楽制作〜音楽世界の探求


といったところだね

ま、つまりは
今まで通り頑張って楽しむってことと
自分のオリジナル作品をもう少し貯めていこう

ってとこですね

BGMは気づけばSlum VillageのFantasticから"Jealousy"になっている
https://youtu.be/rkdVhMIxkF4


そんな心境も大事にしつつ
今年は47歳になるので
(おっさんになったなぁ・・・笑っちゃう)
身体のほうも気をつけつつ
・・・
て感じで
新年の抱負としておきますv

 
 

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by jazzmaffia | 2016-01-01 22:03 | ひとりごと | Comments(0)