中村新史という特殊なピアニスト

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今日は中村新史(Shinji Nakamura)という、
友人のピアニストのソロアルバムリリース記念ライブを見て来た
「特殊」なピアニストと書いたのは
彼は2008年に急病で「自己免疫性脳脊髄炎」という難病にかかり
意識不明な所まで行ってから帰って来たピアニスト
結果彼は後遺症で下半身不随となってしまってもいる、車いすピアニスト

そう、ピアノを弾いたことのある人なら分かるだろうけど
下半身不随ということは、ペダルが踏めないということ
ペダルが踏めないということは、あのピアノ独特の延びて響く音が出せないということ

そんな彼は背中でペダルを踏む(押す)という方法で弾いてみたり
色んなチャレンジとリハビリを経て、
今はほんの少しならペダルを足で踏めるようになったそうだ
でも踏めても足を上げるのが大変なようで、
結果、深く踏めないらしい、まだ

。。。なのに彼は知らないうちにソロアルバムを作っていた


無事俺も都合がつき、途中からにはなったが
そのリリース記念ライブを渋谷JZ-Bratに見に行くことが出来た

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そしてのっけからやられてしまった
「いつの間にこんな格好いいジャズピアニストになってたんだ?」
彼とは10年ほど前に渋谷のクラブ(現タマリバ)The Roomで出会い、
ジャズをある程度やっているのこそ知っていたが、
色んなシンガーのサポートをするピアニストであり
DJ Kawasakiなどのクラブミュージックでも演奏するピアニスト、
そんな認識だったんだが
今日目の前から叩き出されるピアノの音はジャズだ
それも生半可じゃない情熱とテクニックとメロディセンスで迫って来る、ジャズ
(俺は到底弾けない音ってことだ 笑)

そう、彼が車いすで弾いていることなど全く関係ない
ただただ素敵な音がそこにはあった
当然のように俺はCDを買って帰って来た
当初から祝儀を兼ねて買おう、と思ってはいたけど、意味の違う買い方となった

そして俺が気付いたのは
ペダルをちゃんと踏めないが故の、
他では聴けない独特のタッチのピアノ演奏がそこにあった
ということ
普通はついついペダルを踏んで広がりを出すほうに持っていくところが
彼はそう出来ないが故に全ての音をよりハッキリと発音させていた
彼は不自由と引き換えに新しい音を手に入れていたのだ


そしてまた彼はそんな境遇を意に介さないかのように
マイペースで突っ込みどころ満載の「天然」なるMCで会場を笑いに包んでもいた
DJ沖野修也やベースの工藤氏にも散々突っ込まれてもいた
そんな、皆に愛されるピアニスト中村新史という側面も見ることが出来た

CDの資料に書いてあった彼の言葉がいい
「僕自身は特にあまり深く考えず、音楽活動に復帰するのは当然と思っていた。後々客観的に考えると、周りから見て『それは無理では・・・』という事が多かったようだ。そこらへんは僕自身が現状分析力が足りてなくてラッキーだった(笑)」

いいじゃない、この楽観的な感じ
どんな境遇でも楽観的でいられる(楽観的であろうと頑張れる)って素敵なこと

よくよく考えてみると
Stevie WonderやRay Charlesが
目が見えないのによく頑張るよね、
なんてことを考えながら彼らの音楽を誰も聴かないよね?
ただ、いいから、格好いいから聴く訳でしょ?

クラシックの辻井伸行もそうだよね
きっかけこそ「盲目なのに凄い!」からな人も多くいたと思うけど
彼のピアノもまたそんなことと無関係に音が凄くいい!



でも、まぁきっかけはこれいいんじゃない
車いすピアニスト中村新史の音楽を
あなたも聴いてみたらいかがかな?



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中村新史"RR(アール・アール)"
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by jazzmaffia | 2013-07-09 01:47 | Live Report | Comments(0)

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