『細雪』にはまっていました

d0094512_00334342.jpg
たしか、、、
『日本の反知性主義』の中の高橋源一郎氏の文面に
太平洋戦争時に出版されたこの谷崎潤一郎『細雪』が
戦争の批判はもちろん、記述すらなかったなのも関わらず
幾度となく出版禁止となったのは
国が彼の「知性」を厄介だと思ったからではないか?
と記されていて、興味を持って、、、

というのが読んだきっかけだ
そして2ヶ月ほどかけて、仕事の合間合間に読みつつ、本日読了

色んな詳しい評論は探せば出てくるであろうから
あくまで個人的な感想を記しておく

*****

上中下の三巻もあるとは知らずに読み始めて、
かつ最初はなかなか入り込めなかったんだけど
結果、登場人物それぞれの心の葛藤や動きの表現にハマってからはぐいぐい読み進めた

特に二女幸子の「きっとこうであろう、でも一方であちらからみると・・・」
という複数の視点を持ちつつ考える様に入り込んだ感じかな
もちろんなかなか嫁にいけない、でも美しいであろう三女雪子も
戦前の時代なのにも関わらず現代的な「自分探し」をしてあちこち迷惑をかける妙子も
いずれも魅力的ではあったけど
個人的にはその心理描写の普遍性にハマったといった感じかな

あとはもちろん、昔の文学に共通の、
「時の経ち方が今と比べてゆっくりであること」
も心地よかったね
即メールで確認とれるわけでもなく
即飛行機で飛んで行けるわけでもない時代が故の
結果、簡単に相手に会えない&連絡がとれないが故の
思いを巡らせる具合が心地よく見えた

一方で視点を変えると
まだ当然この時代は家政婦を雇うことがそこらじゅうにあった時代で、
かつそれぞれの身分の違いも、
結婚を含めていろんなことの判断基準になっているという側面
それについても色々俺自身思いを巡らせることにもなった

簡単に言うと「差別」が横行している時代、という言い方も出来るんだけど
でも果たしてその「差別」は各々を不幸にしているのか?
というと少なくともこの小説の中ではそうでもなかったりする
「差別はひどいことである」という能書きが生まれて以降、
被差別者が不幸と感じ始めたということでもあるのではないか?

昔の時代を切り取ったものの中には
当然いまとは常識の違いも出て来る
その違いが何故生まれたのか?
その前後で人々の生活は、考え方はどう変わったのか?
そんなことも考えられるから古い名作を読むのは面白いのかもしれない

それにしてもこの文体、
完全に登場人物による日記のような物語
作者のエゴが全く見えない感じは
やはり既に評価が確定してるだけあって、
素晴らしかったね

こういう本を戦時中に書き続けられる谷崎潤一郎
この、女になりきって書けている感じなども含めて
確かに素晴らしきエネルギーと「知性」だ
・・・でも何故これが戦時中発禁になっていたのかは、やっぱりよく分からないけど、、、

■本日の教訓
音楽もそうだけど
「名作」とされるものは
どんどん触れていくべきだね

*****

そして既に次の本を読んでます、
浜崎貴司氏から
「ほれ、これあげる」と頂戴した
ムッシュかまやつ自伝な本
肩の力の抜けた語り口が粋な本ですな
俺の生まれる前の音楽シーンを知ることが出来る本でもありますね


by jazzmaffia | 2015-07-11 01:03 | Recommend | Comments(0)

<< TUor2015初日@大阪城ホ... 奄美大島に行ってました >>