2016年 05月 30日
Book : 『羊と鋼の森』レビュー
うん、ちゃんと基音の歴史も記してあるし
(モーツァルトの頃が422hzだとか)
調律に関しても軽く、だけど平均律や純正律に触れてあったし
かなりちゃんと取材をしたと思われるしっかりした土台の上に話が進む
なんだけど、
素敵な話ではあるんだけど
*クリーンすぎる感じがあり
(性的なエッセンスがほぼゼロ)
大成功する話ではないんだけど
*アメリカ資本主義/「夢」をベースに生きていくことを基調として話が進むし
ってあたりがひっかかり
結果
三浦しをん「舟を編む」
ちゃんと、それもかなりちゃんと取材をした上で、
「ピアノ~ピアノの調律師を素材にしたら
今の大衆に響くもの、
大衆が今、足りてないと感じてるところを埋めるもの
が書けるのではないか?」
といった著者の気持ちが通奏低音としてずっと聴こえてくる感じ
結果
それは消費される商品としての小説となってしまう
うまくこの素材をポップな料理にしたなぁ!という印象のほうが強い
ま、多くの人にとっては、
「だから」分かりやすくていいんだろうけどね
俺は、何か違うんだよなぁ
帯には「村上春樹のドライさと湿り気」
と書かれていたけど、
村上春樹的なのは
ひとりでいろいろ妄想しているところ、くらいかな
春樹のもう少し深いところに響く感じとは全然違うね
これも本屋大賞かぁ
「舟を編む」もそうだったもんなぁ
本屋大賞が好む感じなんだなぁ、てのはすごく分かった
この宮下奈都、そして三浦しをん、原田マハ、有川浩から宮部みゆきまで、
最近のヒット女性作家に俺が感じる共通点だね
「うまい!!!」「よく調べました!」
、、、でも、、、て感じ
でも、それでもフォローするならば
かつ「よく調べて」くれているおかげで、
ピアノの調律を頼む上での注意点や
「そっか、ペダルの具合もリクエストしてよかったんだ!」
なんて今更なことを知ったり、な側面もあり
それに関しては読んでよかったなと思った次第
ほぼ間違いなくベーゼンドルファーのことを差しているんだろう
ま、少し悪く言っているので、敢えて名前を誤摩化したのかなと思われます
by jazzmaffia | 2016-05-30 01:06 | SWING-OによるReview | Comments(1)
お忙しい中、本をたくさん読まれていますね。
調律に関してのオーダーの参考になったとのこと。
以前、何かで本の中に一カ所でも響く言葉があれば
それは大切な出会いなのだというようなことを読みました。
他はあまり面白くなくても、買ったからには全部きっちり読まないといけないとかそういうことではなくて
一カ所だけでも出会いというところに感銘を受けました。
自分に関してはなるべく全部読んだり、他がつまらないと損をしたような気分になっていたので、目からうろこでした。
SWINGーOさんはただ感想を書かれているだけなので
話はちがいますが・・・