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ヨーロッパ映画の日本版DVDは音程が変わっちゃってる!!

ヨーロッパ映画の日本版DVDは音程が変わっちゃってる!!_d0094512_00220684.jpg
コロナ禍のおかげで自宅で映画をよく見てる
って人も多いでしょう
俺もそんな一人な訳ですが
以前から気になっていたことが
結果8割方分かってきたので、
メモがてらここに記しておきます

気になっていたこととは
「ヨーロッパ映画のDVDを見ると
音程が原作と違うことが多い!」
と言うことです

まだ音楽的な映画の確認をいくつかしただけですが、
裏事情をある程度知った今思うのは
なんならかなりのヨーロッパ映画・映像作品のDVDは音程が違うかも?
と言うことですね

まずその「音程の違い」に俺が気づいた理由は
冒頭の写真の「Onceダブリンの街角で」の前半のシーンで
主人公の男が「キーはCで」と言ってギターを弾き始めるのに
どう聞いてもBだった
そこに連弾する女性も白鍵を弾いてる(Cを弾いている)ように見えるのに
鳴っているのはBだった

え、、またか!!
6年前に記した、
ピアノ調律師の映画「ピアノマニア」のことを思い出したのでした

「ピアノマニア」これ、まずいです

実際、分かりやすい証拠になるでしょう
「Once ダブリンの街角で」の予告編を見ると
冒頭の映画のシーンはキーがBです
でもその後の、
サントラから持ってきた音に切り替わると
いきなりCに変わるんです

https://youtu.be/qJjcZa1dYq0

なぜこうなるのか???

この、音程が下がることに関しては
まだ推測の域を出ませんが
音程が上がる方が実はヨーロッパ映像DVDの常
だと言う話を友人から聞きました
まずそこから説明しましょう

**********

映画〜アニメなどは世界統一規格があり
1秒に24コマ(24fps)ということで統一されているようなんですが、
テレビ〜ビデオ〜DVDなどの家庭用映像になると
大きく2通りの方式に分けられるそうなんですね

PAL方式:1秒に25コマ:ヨーロッパ、中国、オーストラリア、ブラジルなど
NTSC方式:1秒に30コマ:日本、アメリカ、カナダなど

そして、
まず映画〜アニメをヨーロッパでビデオやDVDにする時に
こういう処理をされるらしいんです
1秒に24コマのものを25コマに変換しないといけないのを
次の秒の頭の1コマを持ってきちゃうそうなんです

手書きの図と共に説明してみますね
ヨーロッパ映画の日本版DVDは音程が変わっちゃってる!!_d0094512_00575340.jpeg
毎秒1コマずつ早くなる
=24秒で本来より1秒短くなる
=音程も4%高くなる
=半音ほど高くなる
これを知ってる人の間では
PAL早回し
と言うそうです
そのワードで検索すると沢山出てきますね

分かりやすい実例込みでこの記事などどうぞ
ドラゴンボールの日本版とフランス版の違いも出てきます

なぜPAL方式のアニメ・映画DVDは再生速度が早いのか?
http://worlddbz.blog44.fc2.com/blog-entry-11.html


この、早くなるケースは急いで確認しただけでも
「4分間のピアニスト」2006年ドイツ映画
「ピアニストを撃て」1960年フランス映画
などがそうでした
ピアノが大事な映画なのに・・・
DVDでは半音くらい高いです
(YouTubeで見れるものは原曲キーでした)

注)つまり映画の尺自体も何分か短いはずです

実際この原因は、
「PAL早回し」で作られたヨーロッパ版ビデオ〜DVDを
その早回し状態のまま日本版DVD化されたものだから
ちゃんと全部を確認してませんが
かなりの率で早回しの状態で商品化されているらしいと推測されます
これだけでも問題ですよねぇ

これだけ絶対音感教育が普及している日本で、
これまでクレーム出てこなかったんでしょうか?
「4分間のピアニスト」なんて
ベートーベンやシューベルトの有名曲が
日本版DVDでは半音上で弾かれてますからね

**********

で、
そんな、「半音くらい高くなる」PAL早回しがスタンダードだとして
じゃあなぜ半音くらい低くなることも生じるのか??
これは友人の説も踏まえつつ推測してみます

まず、
1秒24コマの映画をPALのDVDにする際に
そのままPAL早回しをしてしまうと半音くらい上がっちゃう訳ですから
「それじゃまずい」と分かってる方が
ヨーロッパ版DVDにする際に、
ちゃんと正しいキーの音声データを乗せたんじゃないか?
(「ピアノマニア」もそんな気がします。
調律のシビアな世界を描いてるのに、
映画とDVDでキーが違うとまずいですからね)

で、そんな音声の正しい状態の1秒25コマのヨーロッパ版DVDを
1秒30コマのNTSC規格の日本版DVDを作る際に
コマの調整だけをして、別途音声データをつければ良かったのに、
音声データを引き伸ばしてしまったのではないか?
それで音程も低くなってしまったのではないか??

ヨーロッパ映画の日本版DVDは音程が変わっちゃってる!!_d0094512_01175052.jpeg
ただこの仮説のままだと
25/30で半音どころじゃないくらい下がっちゃうことになるので
100%正しい仮説とは言い切れませんが
そのような処理が原因じゃないか?
てことは確かな気がします

だから最初にあげた「Onceダブリンの街角で」はDVD〜配信宣伝のために
日本独自の予告編を作ろうと思った担当者が
ど頭はDVDから抜き取って、日本独自の字幕を入れて(そこはキーがB)
そのあとは海外仕様の予告編(そこはキーがC)につなぐ、と言う処理をしたから
あの不可解なキー違いのものが混在する予告編となってしまったのではないか??

実際、海外仕様の予告編はこうなってます
日本版の12秒のとこから始まってます

https://youtu.be/FWJIylZ8VyM


いやあ困ったカオス状態ってことですね
でもこういう状態を気にしないでリリースしちゃうって
やっぱり問題あるなぁ、、、て思う

そもそも論を言うならば
ちゃんとした日本版DVDを出すならば
フィルムを取り寄せてDVD化する分には
こういうことは一切起きないんですよ

ただそうするにはあれこれ費用がかかりますからね
そんな手間暇かけるよりは
パパッとデジタルのデータを送ってもらって
我が国仕様にパパッと変換すれば楽だし
同時にいくつもリリース出来るし、、、利益率がいい!!

費用対効果、利益本位の悪しき側面のせいで
せっかくの作品が
作者の手元から離れて
その後、客の手元にちゃんと届けられていない
と言う残念な現状が、なんなら今も続いていると思われます

きっとこれまで
その体制を考え直さなきゃいけないほどの
クレームが来たことがなかったんでしょうねえ
これからもちょいちょいチェックしていこうと思います

PS1
フィルム上映の映画館だと、旧作を含めてこういうことはないはずです
デジタルだと要チェックですけどね

PS"
俺の持っている、Serge GainsbourgのPV集は
確認したところ、ちゃんと音程も合っていました
さすがにねw

by jazzmaffia | 2020-04-17 01:40 | ひとりごと | Comments(4)

Commented by PALシステム at 2021-05-06 23:28 x
ブログでの記述にPAL方式は1秒25コマとありますが、実際は1コマ内に奇数列と偶数列で違う2枚分の絵が存在するので、秒50枚の絵を表示しています。専門用語を使うと25フレーム、50フィールドと言います。詳しくはググってください。

日本のNTSC方式では秒30フレーム、60フィールドとなります。
60コマの絵が使えるので、フィルム24枚の絵を60コマに振り分けていくことでテレビ放送に対応させています。具体的には11/222/33/444…と、フィルムのコマを2フィールドと3フィールドずつ順番に振り分けます。そうすることで、視覚上さほど気にならないレベルで24コマのフィルムを60フィールドに振り分けることが出来ます。

ではPAL方式ではどうかというと、50フィールドでは違和感無くフィルムの24コマを振り分けることが出来ません。この問題を解決するには2つの方法があり、ひとつはブログでもご指摘されている通り25フレームに次の1秒の頭1コマも入れちゃうパターン。こうすることで引っかかりの無い綺麗な映像が実現します。ただし映像と音声が若干の早回しになってしまいます。
もう一つ、これはPAL圏内で制作される映画独特の文化なのですが、どうせ家庭で観るとき25フレームになるんだったら、最初からフィルムも秒25コマで撮影してしまおうというパターンです。上映機材も秒25コマに切り替え可能です。こうすることで、ソフト化の際になんの問題も起こりません。

つまり、結論としては、おそらくこの映画はPAL方式に合わせて最初から秒25コマで撮影されており、秒25コマで再生するのが正しい速度ということになります。
残念ながらNTSC方式では秒25コマを違和感無く60フィールドに振り分けられないという逆の問題が発生するので、やむを得ず秒24コマに遅くして対応したのではないでしょうか。
フィルムの再生速度こそ正義かと思いきや、とんだ罠ですね。

長文失礼いたしました。
Commented by jazzmaffia at 2021-05-18 11:10
なるほど勉強になります。
結論、音楽映画で音程がずれる症状は何とか無くして欲しいものですね。
Commented by 元 映画少年・映画青年 at 2022-03-08 19:37 x
初めまして。WOWOWプラスで一挙放送中の『第一容疑者』を録画・視聴しております。同チャンネルのサイトに記載された尺(分数)がブルーレイ・レコーダーで録画したものと、ことごとく数分短いため、分かっていながら改めて検索し、こちらへたどり着きました。

YouTube動画をムービーとして画面キャプチャしたところ、1秒60フレームで、その素材を無理矢理AdobeのPremiere ProでNTSC(29.92fps)にコンバートしようと頑張りましたが、あらゆる設定を試みるも、カクカクが残り足掛け3年になります。60フレームのままDVD-Rに焼いても見られるのであれば、MacのOS付属アプリiMovieにかけて書き出しすればいいのでは?と思いながら、まだ出るらしい新しいMacBook Proを買ってからにしようと先延ばし中です。

アナログ放送時代、NHK BS2でフランスの音楽映画『愛と哀しみのボレロ』が放送された際、PAL素材をNTSC変換したため、絶対音感がある友達には拷問に近かったようです。

昨年、往年のカラヤンやバーンスタインが指揮し、フィルム収録・編集されていた演奏会をNHKが8K化したものを2Kにダウンコンバートして放送されたものを録画しましたが、映像は明らかに25フレーム/秒で、フリーズしコマ送りで確認できました。不思議に思っていましたが、上にコメントされた方のおっしゃるとおり、フィルム撮影時に25コマ/秒であったのであれば、NHKの最先端技術でもどうしようもなかったのであろうと、とりあえずガッテン!しました。

クラシック音楽が好きなので、ヨーロッパでビデオ撮影・編集された輸入NTSC版DVDを何枚も持っていますが、不思議と記事にある映画ソフトのような不具合はありません。PALからNTSCへの変換だから?

フレームレート変換に関わらず、未熟なサウンド・エンジニアが反響音をいじったり加えると演奏されている音程からズレることがあります。音声をマルチトラックで作成する際は、特に要注意です。ステレオ音源でもAudacityなどで実験可能かと。PALへの変換で尺が変わると音程も変わります。

長々と失礼いたしました。
Commented by 三谷 at 2024-05-22 16:41 x
前々から買ったDVDの音声にはがっかりしていました。私は78歳ですが20代から映画館にテレコを持ち込むという形で映画のサウンドトラックを録音していました。その後の時代に映像は買えるようになって狂喜しましたが、毎回こんなはずではないとがっかりの連続です。聞き覚えたジャンギャバンの声がこんなに甲高いはずがない!!!
オリジナルと同じにしてと、声を大にして言いたいです。今も1957版のレミゼラブルをネットで注文したところですが、到着するまでわかりません。まだこんなことをやっているのでしょうか。

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