2018年 10月 24日 ( 1 )

Movie&Book : ピアノにまつわる作品レビュー

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『黙ってピアノを弾いてくれ〜Shut Up Play The Piano』
出演 :Chilly Gonzales 監督:フィリップジェディック 2018年

友人が勧めるので見てきた
渋谷シネクイントにて
うん、アルバムは何枚も持っているが
そういえば素性やキャリア全般は知らなかったので
カナダのお坊ちゃんだということだったり
でも最初のキャリアがパンクバンドだったり
最初にブレイクしたのがベルリンでラッパーとしてだったり
、、、などなどぶっ飛んでてビックリした
そしてそのエネルギーにやられたね

「インタビューを受けてもつまらない質問が90%
聞かなくたってわかることをなんで聞くんだ?」
という不満をきっかけに
「俺じゃなくてもいいんじゃないか?」
という発想の元、ゴンザレスオーディションを企画して
全く同じセリフやラップをできる人を選んでいくくだりなんて痛快だ

でもってラップが思った以上にちゃんとしてる
なんなら素晴らしい

「アーティストなら昔は黙って音楽をやればよかったかもしれないが
今はそうじゃない
だから俺はエンターテイナーとして
キャラを演じてるんだ」

「先人の影響は無視できない、リスペクトしてるよ
でも反骨精神も必要だよね、ちょうど半々くらいがちょうどいい」
などなど
響く言葉も多数だったしね

無精髭具合や挑発的な言動を見てると
まさに現代のゲンズブールのように俺には映った
もしゲンズブールが生きてたら嫉妬するような男だろうなと
でも性的にはゲイ?を匂わす程度で、映画の中では深く触れられてなかったね
ヘテロセクシャルならば、かなり女性にモテてそうな人だとは思ったけどね

、、、なんだけど
アルバムも多数持っているんだけど
個人的にはなんだか「惜しい」音楽性なんだよな
なんだろう、「黒さ」があまりないからかなぁ
クラシックからパンク経由のヒップホップ経由のピアニスト
根っこがクラシックというのを堂々と出してる感じが
良くも悪くもパンキッシュには聴こえても
俺の好きな色には聴こえなくてね

エネルギーにはただただ感服
ほんでもって
「俺はどうすべきだ??」
なんて思いながら帰途につきましたとさ

興味を持った方はこちら

「黙ってピアノを弾いてくれ」公式ホームページ
http://www.transformer.co.jp/m/shutupfilm/

*****

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『調律師』
熊谷達也 著

これは古本屋でぱっと目について購入してみた本

ピアノにまつわる本はつい読んでしまうが
ヒット作
「羊と鋼の森」宮下奈都
「蜜蜂と遠雷」恩田 陸
などは、よく出来てるものの、テレビドラマ感が否めず好きじゃなかったが、これは良かった
音に色が見えるという共感覚というのがあるのはオリバーサックスの「音楽嗜好症」などで読んで知っていたけど、音に嗅覚が伴うなんて魅力的な設定の話を訥々とした文体で語られる感じがすごく良かった

ただ
解説にも書かれてたけど
途中までその「音に嗅覚が伴う共感覚」についてがテーマな本だったはずが
突如311東日本大震災が絡んできてしまうところで
少し言葉を失ってしまった

仙台在住の小説家がゆえ、避けられなかったことではあるのは、分かるんだけどね
そこらへんの良し悪しは難しいところだね

個人的には
せっかくなら「共感覚」を持った人の物語で終わってほしかった
結果この本は「共感覚を持った調律師が、東日本大震災に巻き込まれた話」
としての印象になってしまったから

というのが少し残念ではあったものの、
空気感・文体、ストーリー展開は上記の女性作家のものより好きだね
ピアニストとしてすごくわかる感じがあるし
女性作家にありがちな「こうでしょ」という断定がない
読者に夢想させる余裕がある文体、とでも言えばいいだろうか

そういう意味で
この本はカズオイシグロの「夜想曲集」の空気感とも近いものを感じたね
音楽と人との関わりをポップではなく、俯瞰で語ってる感じが



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by jazzmaffia | 2018-10-24 00:04 | SWING-OによるReview | Comments(0)