音楽には二種類ある!!?

「音楽には二種類ある
善い音楽と悪い音楽だ」

これはジャズの大御所デュークエリントンの言葉として有名だ
そして時折引用している人を見ることがある
今でもある

でも、この言葉だけを見ると、実に曖昧な言葉でもある
「善い音楽」ってじゃあ何だ?ということがこの言葉だけではわからない

「自分(個人)にとって」善い音楽という意なのか
「絶対的な何か楽典的な基準でもあった上での」善い音楽なのか
「売れたら」善い音楽なのか

そう、言葉だけを見るといかようにも取れるし、
使い方によっていかようにも見えてくる
しかも
「かのレジェンドの言葉だよ」と付け加えれば、そこに権威が増す、かのように見える

特に音楽を作ってる側がこの言葉を引用していると
それはタチが悪いと思った方がいい
それは
自分が作ってる音楽が善い音楽だ
と強制的に思わそうとしている訳だから

そうした、
ある種のインテリジェンス的なものをチラつかせて
自らの商品なりアーティスト性を高めようとする行為は
、、、いや、大事なんだけどね
でも引用の仕方ってもうちょっとあるよねぇ
て思っちゃう

いや、そういう人をどうこう言いたくて今、文字を打ってる訳じゃないんだ

そもそも
あの
黒人としていろんな苦労と戦いながら
多くの名曲・名演を産み落としてきて
後世に多大な影響を残したレジェンドが
なぜそんな
「悪用されるかもしれない言葉を残したんだ?」
と思ったのだ

そしたら、
いるいる
同じことを思ってた人が調べた記事を見つけた
それがこれだ

「善い音楽と悪い音楽で悩む」
http://picksclicks.cocolog-nifty.com/blog/2010/05/post-63f3.html

そう、彼はいろんな形で、評論家から責められたりしつつ戦いつつキャリアを伸ばしてきた
広範囲にわたる「専門家」や音楽評論家からの幾多の攻撃や貶めからジャズを守り続けてきた
そんなインタビューの中のワンセンテンスに過ぎなかったのだ

以下引用させていただく

*****

問題の「良い音楽」は「ジャズの行方」という「Music Journal」の1962年の別の記事に現れる。かなり長い記事の終りのあたりでデュークはこう語っている:

ご存じのように、私は音楽を分類しようとするあらゆる試みに反対してきた。だから私は未来の音楽がジャズになるかジャズにならないかとか、クラシックに統合されるかどうかとかについて語るつもりはない。

音楽には二種類ある。善い音楽とそれ以外だ。クラシックの作曲家はクラシックの分野の中で冒険をするだろうが、それが判断されるべき基準は単純にそれがどういうサウンドであるかということだけである。それが良いサウンドであればであればそれは成功であるし、そうでなければ失敗だ。制作と演奏がまっとうになされているのなら、それがホイルの法則に則っていようがいまいが、音楽家がアイディアを持っているのなら書けばいいのだ。

そしてその結果がジャズであるかどうかとか演奏の様式がどうだというふうなことは気にしないでおこう。我々が様々な方法で創造しようとしていることは音楽なのだということだけを言っておこう。

*****

簡潔に要約するならば
彼は
音楽を細かくジャンルや人種で区別していくことに反対する答えとして
「音楽には二種類ある、善い音楽とそれ以外だ」
(そう、「悪い音楽」とは彼は言っていない)
という言葉を吐いたのだ


これが言葉や名言の難しさだ
背景ごと把握しないと
後世に、都合のいい様に解釈して再利用されることが数多あるということ

俺自身はそういうことをしてないなんて全くもって言い切れないけれど
なるべく、名言格言を引用するときは
その誕生秘話など、背景を把握して使いたい
と思ってはいる

ま、
何にしても現在
この
「音楽には二種類ある〜〜」という論法自体が
使う意味がない時代な気がするね

それでも使いたくなれば
(俺にとって)
(私にとって)
をつけて引用すれば、逆に今っぽくていい言葉に見えてくる

どう?

「音楽には二種類ある、
俺にとって善い音楽とそれ以外だ」


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# by jazzmaffia | 2018-06-13 02:55 | ひとりごと | Comments(0)

Leroy HutsonとGizelle Smith

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Leroy Hutsonと言う、
1970年代に活躍したNew Soul系のシンガーソングライターがいる
Curtis Mayfieldの子分的な人であり、
のちにCurtisが抜けたあとのThe Impressionsに加入した人であり
Donny Hathawayと大学の同志で"The Ghetto"をDonnyとともに書き下ろした人であり、
でも何より俺や俺の周囲的には
90年代のFreesoulコンピ、
UKでの再評価〜Galianoなどでサンプリングされたりしたことで
その名と音を知った人が多いだろう
つまり、リアルタイムでは大して売れなかった人でもある

1982年のアルバム"Paradise"を最後にほとんど活動が聞かれなくなり、
2007年にこそっとアルバムを出してはいるものの特に騒がれず、、、
そんなLeroyも今や72歳、
そんなLeroy Hutsonがこの度初来日だという話を今年の初めにニュースで知った

こういうケースでよくあるのは
全くもう現役感のない歌を聞かされる羽目になる、
お金に困ってるアーティストへのボランティアか!と言うライブ
実際、過去にそういう経験あるし、
実に多くのミュージシャンが今仕事や金に困ってるのも知っている

なんなら俺にとってLeroyは最も好きなSong writer ~ Arrangerの一人なので
その良きイメージを壊されるのが怖くもあったので、
当初行くことを迷った
同じようなことを行きつけのSoul Barのマスターに言ってみたら、
「僕もそう思ってたんだけど、YouTubeに最近のライブ映像を見つけてね、それがすごくいいんだ」
と言う話を聞き、見てみた


https://youtu.be/QFuxz3MNONo

お、確かにフルバンドでやってるし、いい感じ
しかも大好きなこの"All Because Of You"をやってるじゃないか!!

で、この映像を見て再確認した
彼はそもそも歌の巧さを売りにした人ではなく、
曲及びアレンジの素晴らしさが売りな人じゃないか
だとすればバンドで来日するのであればがっかりする確率は低いはずだと

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そして、行ってきました
そして、、、最高でした

72歳とは思えない艶っぽい声
改めて曲の良さを再確認しつつ、
イントロどん!で「次は何だ!」と言うワクワク感
それを客席全部で共感してる70分間
ドラムこそ若干いまいちな感じはあったけど
総合的に本当感動なライブでした
上記の"All Because Of You"が始まった瞬間の高揚感には
そして歌い出しの"wantin ~"
その艶っぽさが40年以上たった今もそこにあることに
本当涙腺ごとやられちゃいました

珍しく、ライターのように、曲をメモってる俺がいました

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、、、と言う感動とともに、
個人的に大きな驚きに
ステージが始まってしばらく経ってから襲われます

コーラスを歌っている黒人女性ボーカルが
いい感じだなと思って調べてみると
なんとGizelle Smithじゃないか!

わからない人のために説明しておきますと
2010年の彼女のアルバムが日本で発売される際のCDボーナストラックとして
remixを作ったことがある人です
そのremixは結果本人たちだけでなく多くのDJの反応をいただき、
WahWah45と言うドイツのレーベルからレコード化もされ、
日本では DJ MURO、Ryuhei The Manなど多くのDJにプレイしていただくことになる、
俺のremix worksの中で最も世に羽ばたいた曲になったのです


https://youtu.be/kl8RDWduAjI

そしてさらには
俺の2011年の45名義のソロアルバムで
フィーチャリングで歌ってもらいました
その曲はアルバムの看板曲になり、PVも作りましたし、
Kyoto Jazz Massive沖野修也のコンピにも選んでいただいた、
これまた俺の代表曲の一つになりました


https://youtu.be/kMkJ2xG_skI

そんな彼女とはメールでのやりとりで制作したので
会ったことがなかったんです
それが、こんな形で
俺の大好きなレジェンドアーティストのサポートと言う形で
目の前にいる!!!

で、結果が最初にある写真のように
無事彼女とは会えた訳ですが
そこにもちょいと裏話がありまして、
そこがまた俺らしいんですが、、、

そのままライブ終了後に挨拶しにいけばいいものを
迷いつつもその時一緒にいたライターの林剛さんとの打ち上げを重視してしまい、
帰る頃には「やっぱ挨拶すればよかった!!」なんて後悔してる俺がいる

で、ラッキーなことにもう1日、5月5日にも公演がある
スケジュール調整をすれば30分くらいはもう一度Billboardに行ける
連絡先は知っているのでGizelleに連絡して、彼女も会いたいと言ってくれた

そして「なんであの時挨拶してなかったんだ!」と自己嫌悪するのではなく
俺は前向きに捉えました

「あの時挨拶できたらそれはそれでいいんだけど
もう一度出直すんであれば、彼女にプレゼントを持っていける!
彼女と一緒にやった作品のレコードは彼女は持ってないらしいので
それを持っていけるじゃないか!
なんなら和菓子かなんかの差し入れも合わせて、、、」

いやあ、挨拶だけのために再びBillboardに行くなんて、、、
その、向かう電車内はなんだか久しぶり緊張しました 笑
でも結果会えていろいろ話せて、本当よかった

みなさん、
緊張を乗り越えて一歩前に進むって、大事ですよw
なんてね 

ま、要領悪い俺は、フットワークでどうにかするしかないんですわ
これまでも、これからもそうやってどうにか全部足してやっとプラス
そんな人生だろうなぁ、、、と思っております

さて、差し入れの鯛焼きは彼女は気に入ってくれたんでしょうかね?


*****

最後に彼女の8年ぶりにリリースしたニューアルバムからの曲をお届けして
長い長いレポを閉めようと思います
ひょっとしたら、これを提げて、夏に来日できるかも???と言ってましたよ!
「無事それが実現するなら、俺も絡ませてよ!」
とは伝えておきましたw


https://youtu.be/jkG0lBKUZB8

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# by jazzmaffia | 2018-05-07 01:01 | Live Report | Comments(0)

Book : サブカルな人たちの本は今こそオススメ

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微妙なニュースが大きく取り上げられることが多い今日この頃
そんな現況に辟易してるあなたは
こういう本を読めばいいと思う

俺のようにニヤニヤしながら読める人もいれば
入っていけない人もいるだろう
好き嫌いは大きく別れる、だろう

だから「サブカル」なんだよね
もちろん本人たちも進んで表な「メインカルチャー」ではなく、
裏な「サブカル」であろうとしたわけではなく
自分を客観視してみたらそうだった、という感覚の方々
その客観視できつつも、自らの衝動に素直であろうとする方々
そんな方々の音楽こそそれなりにコアなものだったりするけど
文章にすると意外やポップだったりする

今回はこの3冊を一気に紹介しておこう

両脇にある文庫本は
キンショーこと筋肉少女帯として知られる大槻ケンヂ著作
「行きそで行かないとこへ行こう」新潮文庫
「のほほん人間革命」角川文庫

どちらもタイトルこそ違うけど
著者がいろんな冒険やチャレンジ、、、
というと格好いいが、要は自分がそそられることに手を出してきたレポ
その選球眼がいちいち「裏」な感じで面白い

カレーについて熱く語ってみたり
ホモ映画館、ストリップ劇場、日光江戸村などに「行ってみた話」な前者と
「人間革命」なんて大風呂敷を広げながら
UFOを信じる人たちのレポ
合法ドラッグを求めて、サボテンを煮詰めて食べてみた話とか
現状「合法」な範疇での快楽探検記な後者
いずれも
街のすぐそこにある痛み・闇を気づかせてくれつつ
なんだかすっきりする、ネジを緩めさせてくれる本たちでした
電車内などで読んでるとニヤニヤしちゃうこと請け合いなので要注意ですw


そして中央にあるのは
O.L.Hこと面影ラッキーホールの二人による、
性の悩みのQ&A集

「けだものだもの〜O.L.H.のピロウトーク倫理委員会」ele-king books

これがまた痛快なくらいひどくていい
人間誰しも性の悩みはあるわけで
事件を起こしちゃった人だけに限ったものではない
動物としては当たり前に持っているはずの「性欲」
その「性欲」に対してここまで痛快にQ&Aで答えつつ
最後は処方として音楽なり本なり映画なりを紹介する、
その感じは本当痛快!!の一言です

下品の極みに漂う慈愛と純真 by 田口トモロヲ

よく言って下劣で無責任
悪く言って気分爽快
他人事天国!!  by 都築響一

早く買わないと「発禁」だぞ by 安斎肇


この帯コメントに表れてる内容ですが
ちゃんと哲学的だったり音楽分析、歴史分析も混ぜてくるからね
そこが俺も読破しちゃった所以かな

例えば性教育な話の流れから
「新人育成にもいろいろあって、魚類の産卵みたいに何万個産んで、一人孵ればいいや、という文化と、人類的な一人一人を丁寧に産み育てる文化があるんですよ」
なんて俯瞰してる視点になったりする

昭和歌謡の頃の作家と演者の分業時代の歌詞と
現代の歌い手本人が書く私小説的歌詞のあり方の違い
、、、なんて話も織り込まれてね、ウンウンって話もあったりする

でも下ネタ、それもなかなかの下ネタっぷりなので
大槻ケンヂ本以上に要注意です!
とだけお伝えしておきましょうw



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# by jazzmaffia | 2018-04-30 20:28 | SWING-OによるReview | Comments(0)