カテゴリ:SWING-OによるReview( 24 )

Book : サブカルな人たちの本は今こそオススメ

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微妙なニュースが大きく取り上げられることが多い今日この頃
そんな現況に辟易してるあなたは
こういう本を読めばいいと思う

俺のようにニヤニヤしながら読める人もいれば
入っていけない人もいるだろう
好き嫌いは大きく別れる、だろう

だから「サブカル」なんだよね
もちろん本人たちも進んで表な「メインカルチャー」ではなく、
裏な「サブカル」であろうとしたわけではなく
自分を客観視してみたらそうだった、という感覚の方々
その客観視できつつも、自らの衝動に素直であろうとする方々
そんな方々の音楽こそそれなりにコアなものだったりするけど
文章にすると意外やポップだったりする

今回はこの3冊を一気に紹介しておこう

両脇にある文庫本は
キンショーこと筋肉少女帯として知られる大槻ケンヂ著作
「行きそで行かないとこへ行こう」新潮文庫
「のほほん人間革命」角川文庫

どちらもタイトルこそ違うけど
著者がいろんな冒険やチャレンジ、、、
というと格好いいが、要は自分がそそられることに手を出してきたレポ
その選球眼がいちいち「裏」な感じで面白い

カレーについて熱く語ってみたり
ホモ映画館、ストリップ劇場、日光江戸村などに「行ってみた話」な前者と
「人間革命」なんて大風呂敷を広げながら
UFOを信じる人たちのレポ
合法ドラッグを求めて、サボテンを煮詰めて食べてみた話とか
現状「合法」な範疇での快楽探検記な後者
いずれも
街のすぐそこにある痛み・闇を気づかせてくれつつ
なんだかすっきりする、ネジを緩めさせてくれる本たちでした
電車内などで読んでるとニヤニヤしちゃうこと請け合いなので要注意ですw


そして中央にあるのは
O.L.Hこと面影ラッキーホールの二人による、
性の悩みのQ&A集

「けだものだもの〜O.L.H.のピロウトーク倫理委員会」ele-king books

これがまた痛快なくらいひどくていい
人間誰しも性の悩みはあるわけで
事件を起こしちゃった人だけに限ったものではない
動物としては当たり前に持っているはずの「性欲」
その「性欲」に対してここまで痛快にQ&Aで答えつつ
最後は処方として音楽なり本なり映画なりを紹介する、
その感じは本当痛快!!の一言です

下品の極みに漂う慈愛と純真 by 田口トモロヲ

よく言って下劣で無責任
悪く言って気分爽快
他人事天国!!  by 都築響一

早く買わないと「発禁」だぞ by 安斎肇


この帯コメントに表れてる内容ですが
ちゃんと哲学的だったり音楽分析、歴史分析も混ぜてくるからね
そこが俺も読破しちゃった所以かな

例えば性教育な話の流れから
「新人育成にもいろいろあって、魚類の産卵みたいに何万個産んで、一人孵ればいいや、という文化と、人類的な一人一人を丁寧に産み育てる文化があるんですよ」
なんて俯瞰してる視点になったりする

昭和歌謡の頃の作家と演者の分業時代の歌詞と
現代の歌い手本人が書く私小説的歌詞のあり方の違い
、、、なんて話も織り込まれてね、ウンウンって話もあったりする

でも下ネタ、それもなかなかの下ネタっぷりなので
大槻ケンヂ本以上に要注意です!
とだけお伝えしておきましょうw



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by jazzmaffia | 2018-04-30 20:28 | SWING-OによるReview | Comments(0)

Movie : "私が殺したリーモーガン〜I Called Him Morgan"2016

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"I Called Him Morgan"
~私が殺したリーモーガン/ヘレンは彼をモーガンと呼んだ~
カスパーコリン監督 スウェーデン・アメリカ共同制作 2016

リーモーガン
もちろん知っている
彼が参加してた頃のArt Blakey & The Jazz Messengersと
ソロ作は"Sidewinder""Speedball"くらいしか把握していないし
正直音色もKenny Dorhamと区別つかなかったりもする

"Sidewinder"などはジャズロックとも言われ、
ジャズ作品としてポップチャートも駆け上がった、
大ヒット作だということも知っている

若くして亡くなったことも知っているが
ジャズ界はそんな人だらけなので
個人的にはワンオブスーパージャズマン
くらいの認識だ

でも、なんか惹かれて
渋谷Uplinkに見に行ってきた

見てて思ったのは
今日び、リーモーガンはおろか、
Miles Davisすらも知らない人が多数になりつつある時代だよなと

これからどうやって
ジャズの「あの頃」を後世に伝えて行くか
伝わっていくのか?
というのは、まさにこれから再考されていくんだろうなと

そんな折にこれから大切なのは
「大ヒットしたかどうか」
「誰に影響を与えたかどうか」
などなどのウンチクではなく、
圧倒する音色だったり楽曲だったりする気がする

そんな意味では
Miles Davisのミュートトランペットは
その音色そのもので後世に残っていくものだろう

そしてこのリーモーガン
曲も多数名曲は残しているが
今回改めて映像で見たときの
音の太さがすごかった
このぶっとい&温かい音でこのアドリブが出来るのは
「天才」と呼ばれてきたのもわかる

彼のジャズ史に置けるどうのこうのを知らなくても
この「音色」にはやられるのではないかな

先日の話の続きにもなるけど
これこそ「肉体的」な音だなと
つまり「個」の力の凄さでもある
(「精神」と「肉体」どっちが先か http://jazzmaffia.exblog.jp/26388501/ )

映画のストーリー自体は
若くして大活躍してきたトランペッター、モーガンが、
ドラッグでもって脱落していき、
そこを救った年上の女性ヘレンがのちに奥さんとなるが
その後大活躍していく最中に浮気が元で
その奥さんに射殺されてしまう
、、、という史実を、残されたヘレンのインタビューや
まだ健在のジャズミュージシャンたちのインタビューと共に追っていく
そんなドキュメンタリー
初出と思われる写真やライブ映像も多数で
よく出来ているドキュメンタリーでした

(追記:ただ、ジャズを全く聴いてこなかった人に伝わる「映画」かどうか?と言われると正直微妙だと想像されます)

彼をよく知らない人も
彼、モーガンの音は触れてみるために見に行ってみるのは
ありかもしれないね
でも音源を聴いてみるだけでもいいかも??
とも思わなくはない 笑

な訳で、
映画でもエンディングで使われていた
この曲でも聞いてみてくださいませ

"Search For The New Land" by Lee Morgan 1964
https://youtu.be/YDfkkRa1VA8



映画情報はこちらです


PS
ジャズにまつわる映画、
ロックにまつわる映画はいろいろ出てきつつあるけど
Marvin Gayeもまさかの父親に殺されてこの世を去ったレジェンド
彼の映画とか出来ないんだろうかね?
リーモーガンが40年以上経ってから映画になった訳だけど
Marvin、Donny Hathaway、Curtis Mayfieldなどを振り返る映画なんかも
そろそろ出てきていい時代な気がするな



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by jazzmaffia | 2018-01-30 21:17 | SWING-OによるReview | Comments(0)

フィリピンは日本の音楽シーンに多大な影響を与えた?!

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"The Wildman Meets The Madman" Bobby Enriquez &Richie Cole 1982

ジャケはポップでいい感じだけど
決して中身は好みではない
いわゆるただの「ジャケ買い」な作品

元がゆるい写真ジャケだったので
日本受けするためだろう、
日本独自のジャケットに差し代わって発売されている
これはレコード時代の洋楽にはジャンルを問わずによくある話

フィリピン人ピアニストBobby Enriquezと
アメリカ人サックス吹き大御所Richie Coleの共演盤
どちらも音数が多くて
それでいてよくも悪くも超スタンダードな作風なので
ホテルのラウンジ感以上のものではない

なんだけど、
ジャズ評論家の大家、
油井正一さんによる解説がすごく面白くて紹介しておこうと思った次第

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日本盤の良さは、
帯がついていることと
こうした解説、歌ものなら対訳が付いていたりすること

そしてこのアルバムの解説では
フィリピンにまつわる歴史にまで話が広がっていて
それがすごく面白かった

その内容を要約すると
■フィリピンは1571-1898年までスペイン領
■1898年にキューバの利害を巡って起きた米西戦争(アメリカxスペイン)にアメリカが勝ち、フィリピンとグアムはスペインの手を離れてアメリカのものとなった
■1934年独立が約束されていたが、1941年には日本軍が占領し、1945年日本の敗戦によって解放され、1945年に完全な独立国となった
■20世紀初頭はアメリカ文化の東洋における中心地となり、日本を含めて東南アジア全土にフィリピン人ミュージシャンは出向き、影響を与えた

そう、まさかの話だった
日本のジャズ〜ポップスの歴史(特に戦前)に
フィリピンからの影響が含まれているだなんて
よもや考えたことがなかったから驚きの話だ

このアルバムの主役のボビーのインタビューでは
「僕の体内のはラテンの血が流れている」と答えているけど
もともとフィリピンがスペイン語だったことや
上記のキューバがアメリカ領になったタイミングと同時に
フィリピンもアメリカ領になったことで
多くのキューバ音楽がフィリピンにも入ってきていたらしい

一般的に日本におけるジャズ〜ポップスを解説される際には
アメリカからの影響な話しか出てこないので
こういう話はビックリだよね

実際戦前からジャズだけじゃなく
ラテン音楽は日本でも流行っていたわけだけど
ただただアメリカ直輸入ではなく
フィリピン経由なものも多数あったと
実際フィリピン人ミュージシャンも多数日本に来ていた
もしくは住んでいた、らしい

そんな話を聞くと
いろいろと想像が掻き立てられるよね
俺らが学ぶ文化史は
ほとんどが欧米→日本だからね
こうした近所づきあいな部分というのも
歴史上多数あるはずなんだよなぁ・・・と
実際、鎖国以前のフィリピンと日本もいろいろと交流があったそうだし

アルバム的には特にオススメするものではありませんが
300円だったし
この解説を読めただけで買った甲斐がありました 
、、、なレビューでした 笑



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by jazzmaffia | 2018-01-29 22:47 | SWING-OによるReview | Comments(0)

Record : "All Because Of You" Leroy Hutson 7inchの謎

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"All Because Of You" by Leroy Hutson 1975
5月には初来日が決まっている
フリーソウル文脈でも名高いLeroy Hutson
そりゃもうカバーからサンプリングもされまくってるからね
彼の紹介をしだすと長くなるので置いておいて、

彼の数多ある名曲の中でも個人的に最も好きな曲がこれ
その7inchを見つけたので買っちゃいました
しかも裏面が「Instrumental」と書いてある!!
、、、て事で期待しつつ針を落とすと
あ、なんだ、原曲に入ってる長〜いアウトロを
「Theme Instrumental」と称して入れてただけでした
いわゆる長い曲をPt.1 Pt2と称してAB面に分けて入れる手法ね
それでした

とわ言え名曲である事には違いない
イントロのドラムから最高だし
オーケストラアレンジも最高だし
それが7inchだとまた音がハンパなくいいなぁ・・・
・・・でも
でも
でも

なんか違和感がある

テンポが遅い気がする


そして持っているCD、LPと比べてみたら
確かに遅い
つまり音程も少し低い

どういう事だ?
アレンジもミックスも同じである事も確認した
つまり別バージョンではない

そして気づいた
アルバムバージョンを少し回転数を落とすと
このシングルバージョンになる

どういう事だ?

そして手元のピアノで弾いてみたり
チューナーを使って見て確認できたのは
■シングルバージョンは通常チューニングでキーがDb
(最初のコードがEbm)
■アルバム〜 CDバージョンは432hzチューニングのD
(最初のコードがEm)

432チューニングはまた話が長くなるので割愛するが
ZappのComputer Loveなどもそうだ
よりヒーリング効果のあるチューニングと言ったところ

ってところでLeroy Hutsonのライブ映像などがないかどうか
YouTubeで調べてみたら、いくつか出てきた

■1975年のSoulTrain出演の口パクではアルバムバージョンのチューニング

https://youtu.be/vUQgxp8MNoA

■2010年代のライブ映像ではシングルバージョンのチューニング

https://youtu.be/QFuxz3MNONo


、、、そんなこんなで推測される俺の中での結論は

■原曲本来はこのシングルバージョンEbmだったのではないか
 事実生演奏ライブではそっちのキーでやっている
■ミックスの段階での意図的、もしくはミスで
ピッチ&テンポが早いバージョンが採用された


ディスコ全盛期だし、テンポを少しあげたほうがいいのでは?
という判断でもあったからだろうか?
この曲を収録したアルバム"Hutson"では
他にもチューニングが微妙なものがいくつかある

、、、興味深いとこではあるな
俺が入手した7inchがプレスミスだったり、
もしくは先行シングルの時点ではこのバージョンだった
なんてことも想像できるしね、、、

いろいろと想像が膨らみます

あの頃は
チューニングをその都度いろいろ変えて
レコーディングしていたのか?

レコーディング〜ミックスの過程で
速度を変える処理は普通に横行していたのか?

そんな事をいろいろと想像してしまうのでした


PS:にしても来日ライブ、楽しみだな
YouTube映像を見てる限りに置いては、
この曲がライブのオープニングになりそうだね


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by jazzmaffia | 2018-01-19 14:00 | SWING-OによるReview | Comments(0)

Movie : 『バンコク・ナイツ』レビュー

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『バンコクナイツ~Bangkok Nites』
富田克也 監督 空族 制作 2016年

噂のロングラン映画
#バンコクナイツ #bangkoknites
をやっと観てきました

そっか、
山梨を舞台にしたヒップホップな映画
#サウダーヂ のチーム
空族Kuzoku」の新作だったのか

俺の周囲からもよく聞く、
バンコクの歓楽街を舞台にした話なんだけど、
かなり内部まで入り込まないと描けない内容、
そして音楽選曲は素晴らしかったね

歌詞の内容がまた独特でよかったな、、、
彼がいなくなったのはバイクのせいだ!て曲があったり、
2年前からいなくなった彼女は母親に売られたらしいけど
俺は今でも米を作りながら待ってる!な曲があったり、、、、
独特のリアリティがあるポップスだらけだったな

タイの田舎やラオスの風景もよかった
ストーリー具合も俺好み
いい具合にカオス
楽園を夢見る欲望が渦巻くカオス

でもそれがタイのリアリティなんだろな、、、

好きな人は好き嫌いな人は嫌いな映画でしょう

個人的には
★★★★☆


バンコクナイツ公式ページ
http://www.bangkok-nites.asia/
 
 

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by jazzmaffia | 2018-01-09 22:49 | SWING-OによるReview | Comments(0)

Book : 『M/D~マイルス・デューイ・デイヴィス3世研究』レビュー

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『M/D マイルス・デューイ・デイヴィス3世研究』上・下
菊地成孔+大谷能生 著

この本の原作が出てから9年
文庫本が出てから6年
そして主役のマイルスがなくなってから26年の
しかも本日9.28がその命日

、、、という絶妙だかなんだかわからないタイミングでレビューを書きます
単純にたまたま今月頭くらいから読み始めた、というだけなんですがね

正直、俺自身はマイルスファンではなくて
正確には菊地さんの著書のファン
もちろんマイルスは好きな作品は多数あるし
勉強がてら肝とされるアルバムは大概持っているんですが
すでに自伝も読んでいるんですが
「エレクトリックマイルス」期と言われる1970-75年あたりの作品は
正直好きになれなかったりもして、
でも菊地さんはそこを熱く語っているのは以前から知っていたので
(レコードコレクターズ「On The Corner」特集などで)
結果、後回しになってしまったというとこでしょうか

で、結果
やはり素晴らしい本でした
想像通りのヘビーさで、
比較文化論的にあらゆる側面から時代考証をし
人文学的心理学的見地をも経由してマイルスの人間性を炙り出そうとする様は
人工衛星から眺めてたはずの地球が、一瞬で目の前に迫ってくるような
高所恐怖症の俺がいやいや乗ったジェットコースターが意外や心地よかったような
何せめくるめく素晴らしい視点による分析に頭がクラクラし
いかんせん対象であるマイルスの躁鬱具合、体調不良具合に意識を持って行かれて
読んでいる俺自身が気重になってきてしまう側面もあり、
特に「エレクトリックマイルス」が語られる下巻は
メモっておきたいことが多数で、本来ならばゆっくり読みたいところなんですが
気重さに耐えきれず急いで読みきってしまう羽目になる
。。。といった感じでした

そもそもが東京大学の講義本です
なので受講生という心持ち半分で、
感想文的に記してみると

もともと"Nefertiti"1967までは好きでしたが
今回受講したことで「意外といいかも」と思えてきたのは
"Get Up With It" 1974
ですね

この、ただのボツ曲集でもある、
引退時期にレコード会社主導で出された系の作品は
すでにテオマセロの手が加わってるとはいえ、
俺にはポップに響くものがいくつかあって気に入りました
特にB-1"Maiysha"はいいですね
この時期にしては唯一と言っていいほどコード感のある楽曲
モーダルでもあり、
10年遅れでチルドレン側の
Herbie Hancock "Maiden Voyage"
Freddie Hubbard "Little Sun Flower"
あたりを意識して作られたような、
いや聞き様によってはPharoah Sanders~Lonnie Liston Smithにも聞こえますね
実際、そこを意識したのかもしれませんね、
この曲の、マイルスによるオルガン?のロングトーンがキテレツな以外は
Lonnie Liston Smithの曲と言われても納得しちゃいそうな心地よさがあります
あ、そもそもこの時期のマイルスに「心地よさ」を求めること自体が間違ってるんでしょうけど

他、70年頃の、フィルモアなどのロックフェスに出た時のライブ音源なども
その頃の背景を説明されながら聞くと
実に魅力的に聞こえてくる、熱くなるものがありましたね
でも、でも、
俺にはまだ"Bitches Brew" 1969がポップには聴こえてきませんでした
これがマイルス唯一の、ポップチャートでトップ40に入ったアルバムなのは知ってますが
未だよくわかりません
むしろロックフェスにいろいろ出て、
「なんだか知らないがこのオッさんすごい!」
と白人に思われて、その白人層が結果買ってくれたって順番でしょ?と
実際その後のサントラやライブ盤になるとまたチャート100位圏外に戻ってしまいますしね
現状の俺の耳では、て話です
いずれ聴こえてくる日は来るかもしれませんが

マイルス引退時期の1976年に始動した
マイルス抜きで始められたマイルスバンドV.S.O.Pの
「ジャズ史を振り返る」的企画を
「ジャズを止めた」企画と切り捨てる視点は「なるほど」でした
ビジネス的にはそうした懐古的な企画は成功しがちなんですが
一方で更なる境地を目指そうとする側からしたら迷惑極まりない
そこを懐古企画と新境地をうま〜くかる〜く乗りこなすHerbie Hancock
彼の薄っぺらい感じ、いやでも深みもあるっちゃある
でもカリスマではない、、、、評価は俺自身も難しいところですが
「振り返る企画」の危険性は少なくともわかる話でした

他、ケイ赤城さんとの対談は面白かったですね
唯一の日本人でマイルスバンドメンバーになったことがある人です
マイルスがメロディを重力になぞらえて話してくれたくだりとか
ピッチ感の独特な感じ、そもそも平均律で吹いてないのではないか?
というくだりも面白かったです
その70年代以降の、
モードジャズからどんどん発展して、
結果、無調音楽になっていく中で
マイルスは何を捉えて音程を出していたのか?という考察は
漠然としか解釈は出来ませんでしたが、興味深いくだりでした

他1980年代復活以降は
どれだけ日本がマイルスを支えたか、という話もなるほどでしたね
その中にはタモリもいるでしょうし
チケットが5万円したという目黒ブルースアレイこけら落としもありました
(ちなみに年末にライブやることが決まったので、また違う気持ちで出れますね)
デザイナー佐藤孝信さんも80年代〜死ぬまでの衣装を支えた人だったと
(ちなみに先日Hanah Springと話してたら、孝信さんを知っている&話したことがあるとのことで、、、びっくり)

そろそろ
まとめに入りますが
マイルス分析の基調としてあった
「常に時代から数年遅れで新しいことに挑戦していた」
というのは非常に納得できる解釈でした
その、大胆に新しいものをどんどん取り入れていくイメージだったのが
その実は違っていた、という話は面白いポイントでしたね

本の中で一番出てくる
「ミスティフィカシオン」自己韜晦・目くらまし
「アンビバレンス」二面性
さらにこれらの分析をベースに進むことで
「天才」だ「奇才」だなどと抽象的で安易な着地点で思考停止せずに
人間・マイルス
をあぶり出してくれる、
さすがさすがの菊地・大谷ペア著書でした

*****

そして最後に、
ネットをいろいろ見ていて発見した
1991年に、マイルスがなくなる2ヶ月前に
Quincy Jones指揮で行われた
モントルージャズフェスのGil Evans トリビュートライブ
これ、ちょっといろんな意味できゅんと来ましたね

今まで過去を振り返らなかったマイルスが
偶然にも亡くなる直前にそうした懐古企画に乗っていたなんて、、、
マイルスチルドレン筆頭のWallace Roneyの笑顔がまたきゅんとくるんです

Miles Davis with Quincy Jones & the Gil Evans Orchestra 1991

https://youtu.be/4_eUc_equV0



でも菊地・大谷氏の解釈は違うようです
なぜならその直後に結果遺作となった"Doo Bop"のレコーディングをしてますからね
きっと大金を積まれて「出稼ぎ」に行っただけなんじゃないか?と 笑

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by jazzmaffia | 2017-09-28 18:28 | SWING-OによるReview | Comments(0)

Live Album "Fried Pride Live in Luxembourg with L'Orchestre Pasdeloup" 2017

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"Live In Luxembourg with L'Orchestre Pasdeloup"
by Fried Pride 2017

久々に
#SOUL大学 なレビューをします
残念ながら昨年末に解散してしまっている #FriedPride 最終作として発表された、ルクセンブルクオーケストラとの共演ライブ盤を聴いた

2015年のグラミー賞のベストコンテンポラリーワールドミュージックアルバムを受賞した、アフリカはベナン出身のソウルな女性シンガーAngelique Kidjo"SINGS with Orchestre Philharmonique du Luxembourg"と同じアレンジャーGast Waltzingを迎えてのアンサンブルだそうで、ゴージャズかつ面白いアンサンブルで聴かせてくれるオーケストラアルバムだ

オーケストラとの共演というのは、シンガー、ミュージシャンにとっては一つの大きな夢、目標である人も多いだろう。人間の生演奏のみで奏でられる大きな(まさに)オケをバックに歌い、演奏するのは至福の時間になるはず。人間力の塊を音にする訳ですからね。電子機械と共に奏でる音には出せない温もりと表現がそこにはあるはずで、もちろんその分プレッシャーを感じる側に転じる人もいるだろうけれど。

結果、このオーケストラとの共演アルバムはFPの熱い声と美しいギターがのびのび泳いでるような印象のライブ音源になっている。個人的には
Tr-1 リバーサイドホテル
にまずやられる。日本を代表するシンガーソングライター井上陽水さんの曲を素材にジャズな感性とクラシカルな音が融合した音は実に心地よい

Tr-5 Take Five
面白い選曲のTr-9"Burn(紫の炎)" (ハードロックバンドDeep Purpleのカバー)の熱い歌&演奏もよかった

Angelique Kidjoのアルバムと併せて聴くとまた面白いかもしれない。個人的にはパーカッションやコーラスも加わった、より土着的な楽曲のそちらの方がむしろクラシカルに感じた。FPのこの音源は基本ジャズで、なんなら映画のサントラのような響きを感じた。

この音はまるで避暑地の響き
熱い日々が続く中、深呼吸と水と共に聴いてみるのをオススメします
あ、シャンパンかワインの方がいいかもしれないですが、、、

*****

、、、解散してしまった以上、オマケのような形での発表&プロモーションになってしまっているのが残念な名ライブ盤です





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by jazzmaffia | 2017-07-26 01:00 | SWING-OによるReview | Comments(0)

Movie : "Sign Of The Times"はプリンス映画の最高傑作だ!!

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映画"Sign Of The Times" Prince 1987年

殿下が召されてから9ヶ月経ってやっと見ました
他の
"Purple Rain"1984
"Under The Cherry Moon"1986
"Graffiti Bridge"1990
はすでに見ていたが、
いい部分こそそれぞれあるけれど
映像全体で「いい!」とまでは思っていないものだった

そんな中、一番触れられてもいない作品で、
最近まで存在すら知らなかった映画がこれだ
同名の2枚組アルバムと同タイトルの
ライブ〜ミュージカル映画といった趣

女性の主役、
ダンサーのCATが彼氏と揉めるとこから始まり
そこからはライブ中の演出の中で次々と事件が起きていく
当然Princeも彼女にすり寄っていき・・・
そんな各所の演出を、絶好調のバンドアンサンブルで盛り上げていく
中でもSheila Eのセクシーさとプレイの格好よさが半端ない
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途中には"U Got The Look"で
これまた当時とびきりセクシーだった
当時Princeの恋人と噂されたSheena Eastonも出てくるし
女性の出演者がどれも魅力的

そしてプリンスの歌も演奏も
いやバンドもキレッキレ
特にホーンセクションのアンサンブルが半端ない

Prince & The Revolutionを解散させた直後に組まれたバンドなはずなんだが
Sheila E他数名は古株だとしても
一体いつリハーサルをやってグルーヴを固めてきたんだ?
毎年のようにアルバムを発表していた時期だし
ましてやアルバム"Sign Of The Times"は
バラしになった3種のアルバムから集められたものと言うではないか

あ、そもそもそのように言われているけれども
このライブ映画を見たら、
ストーリーと曲がリンクしているので
この映画の着想を得た殿下が
それら3種のアルバムをボツにしたのかもしれないな?

なんにせよ、バンドのクオリティーが半端ないです

見所は色々あるけれど
個人的には
■殿下がダンサーCATの股下をスライディングで抜けていくところ
スカートをもぎ取っちゃうんだよね
これは見ててもドキッとする部分だ

■曲中("It's Gonna Be A Beautiful Night"だったかな)で
殿下が、Sheila Eとハイタッチしたと思ったら
グルーヴそのままに殿下がドラムを叩きだすシーン
このハイタッチの時〜そこからマイクを持つSheila Eがまた素敵なんだな

などなど、ホント見所が多いです
箇所箇所はいるちょっとした臭い演出も、
楽曲とリンクさせるためのものに見えてくるので
他の映画のような苦笑にはならない

当て振りなのはSheena Eastonがでてくる"U Got The Look"ぐらいで
他は全部ライブ!
ヨーロッパツアーで撮られたものらしいです

この方向性の映画だと
ロックバンドの
Talking Heads"Stop Making Sense"1983
が名作としてすでに高い評価があるんだけど
&俺も大好きなんだけど
それと同じくらいの評価をしていい音楽映画だと思うな

きっとこれからプリンス再検証が進んでいく中、
浮かび上がってくる映像作品となっていく気がします

"Sign Of The Times" DVD

このオープニングにもあるように
"It's Gonna Be a Beautiful Night"のオーウィーオってコーラスが
映画の通奏低音になっている感じもいいです
w

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by jazzmaffia | 2017-01-22 16:03 | SWING-OによるReview | Comments(0)

Movie : 『Knife In The Water〜水の中のナイフ』

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"Knife In The Water~水の中のナイフ" 1962年
ロマンポランスキー監督
Krzysztof Komeda(クリストフコメダ) :音楽

これはいい!かなりの俺好みな映画だ
ポランスキーと言えば、な「チャイナタウン」1974年
最近では「戦場のピアニスト」2002年
などは好きだったけど
このデビュー作は知らなかった

菊地成孔「ユングのサウンドトラック」という映画紹介の著書にて
「ジャズと映画・見るべき10本」の中の三つ目に紹介されていて
見てみた次第だけど
まずのっけから音楽が最高でやられました
そして急いでレコード化されてないか調べたら
案の定最近レコード化されていて、かつ在庫が残っていて
急いで入手した次第
(残念ながら7インチは売り切れだったみたいだけど)

監督のポランスキーとともに、音楽・ピアノのコメダもポーランド人
まだ60年代は共産党な時代で、
西欧文化の輸入に対してはかなりの検閲が入っていたようで
音楽で唯一許されていたのがジャズだという
実際、五木寛之の60年代の小説などでもポーランドのジャズシーンが出てきた記憶がある
ジャズ好きにとってはポーランドジャズ、通称ポーリッシュジャズというのは
ジャズの純粋培養の地と言うイメージがあるようだ

Bill Evans的でもあり、Giant Stepsの頃のColtrane的でもありつつ
でもどこか寒々しい感じの楽曲、演奏
それがこの湖を舞台にしたモノクロ映画に実によくあっている

そしてストーリーの秀逸さにもすごくやられた
けん怠期かな?という夫婦が車を運転して湖に向かう
その途中にヒッチハイクな若者をピックアップして始まる、
たった3人しか登場しないストーリー

夫婦仲悪いのかな?
いやこれが普通な夫婦なのか?
いややっぱり仲悪い
・・・とハラハラする二人の関係の描写の秀逸さ
アメリカ映画だったらもっとシンプルに良し悪しを画像に明確に出すはず

若妻役のヨランダウメッカのキュートさにも目を奪われる
若者役のジグムントも、夫の執拗な意地悪に乗ってきたりはむかったりして
結果夫と仲良くなっていく、、、のかな?、、、いや???

そして場所は湖
殺人でも起きるのかな???
と思いきや、、、、

その結果は???
お互い影を背負うことになりつつも、
なんとハッピーエンド!!!

その、「影のあるハッピーエンド」っぷりがいい!!
「二人は幸せに暮らしましたとさ」っていうんじゃないとこがいい
ゴールインなんて嘘だよ
常に人は
喜びの裏には影がある
影の果てには喜びもある
そんなもんだと思っている俺からしたら
アメリカ的超絶シンプルなハッピーエンドは胡散臭くてねぇ
(もちろん影のあるいい映画も沢山あるけどね)

そんな「影」を絶妙にバックアップする音楽がこのコメダの音楽って訳だ

いいよ
オススメです

オープニングからいいです


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by jazzmaffia | 2017-01-12 15:03 | SWING-OによるReview | Comments(0)

Movie : 『永い言い訳』『シン・ゴジラ』

今更「シンゴジラ」
公開になったばかりの西川美和監督最新作「永い言い訳」
の二本、見てきました


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『永い言い訳』西川美和監督
映画HP http://nagai-iiwake.com/

西川監督とは、監督デビュー作「蛇イチゴ」2002年の頃から知っているから
もう15年の付き合いになるのか
、、、付き合いなんて言っても最近は新作が出る際に連絡取り合うくらい
あ、前作『夢売る二人』ではピアノで絡ませて頂きました、、、

な話は置いといて、公開になったばかりの新作です
これまで通りの、彼女の、人の中に潜む闇をほじくりだす様な作品です
初期は彼女の地元である広島を想像させる、田舎を舞台にしたものが多かったけど
前作『夢売る二人』から舞台は東京〜都会に

今作の主人公は本木雅弘演じる小説家
彼のことを監督は
『自己評価がすごく低い人、
それが故に色んな問題、誤解を産み出す人』
と主人公&本木雅弘を重ねて説明してましたが、それ故か
俺自身とすごく被っている感覚に襲われて
「何故俺のことを知ってるんだ?」という感覚で見るハメに
つまりすごく「いやぁな感じ」を胸に見るハメになりました
(それがどの部分かはここでは述べませんが 笑)

でもその「いやぁな感じ」を払拭するのが
竹原ピストル演じる大宮さん
彼のストレートすぎる存在は、
ピストルそのものでもあり、
そのストレートさでもってかろうじて「いやぁな感じ」が中和され
少しずつ話は前向きに進んで行くんだけれど
ストレートすぎる彼の家庭でもやはり問題はあり・・・

・・・そんな、日常に潜む「膿み」を描き出すスタイルは
新作でも絶好調です
「何故俺のことを知ってるんだ?」という感じは
タイプ違えど、村上春樹の諸作にも言えるあの感じ
でも春樹よりは社会との距離感は近い、そんな感じ

監督の作品の音楽はこれまでずっと
カリフラワーズ〜モアリズムの中村氏がやってきてたんだけど
(そのお陰でおれも近いところにいました)
今作では遂に離れたようで
そのせいか、より、都会を感じる音ではありました
手島葵の曲などもすごくハマってました

是非映画館で、我々の日常の「膿み」をご覧になってくださいませw


*****

『シン・ゴジラ』庵野秀明 監督
映画HP http://www.shin-godzilla.jp/

こちらはレビューするまでもなく、既に大ヒット映画です
公開が7.29とのことなので2ヶ月半も経ってるのに、
今日も席はかなり埋まってました
横でこそこそ話してるのを聴くと「もう5回目」なんて言ってる人もいましたね

凄くテンポの速いセリフ&展開
政治批評性もありつつ、科学的批評性もありつつの深みのある感じ
東京〜神奈川の街がどんどん破壊されて行くリアルさ
面白さのポイントは色々あげられるでしょうが

そもそも映画ゴジラをちゃんと見たこと無い自分としては
あとこういうパニック系な映画はそもそも好きじゃない、という自分としては
「うまく出来たエンタメ」とまでは思いますが
この大ヒットという理由までは何とも説明出来る程キャッチ出来たものがありませんでした

だって「ディープインパクト」「インディペンデンスデイ」などの形でもって
すでにアメリカを中心に定番となっている型です
(歴史考証は出来てませんが、日本もその歴史に深く関わってるのかもしれませんが)

この手のものの存在理由で聴いたことがあるのは
「咄嗟の時に、攻撃的な決断を下せるほうが有利だ」
という危機管理の啓蒙のためにアメリカが始めたという話です
その真偽は分かりませんが、
他の国でどれだけ「流行遅れ」となっても
アメリカは常にこうした「パニックもの」を作り続けてきた
というのはそんな需要があるから、必然性があるからでしょう
という意味では上記の「危機管理の啓蒙のため」という話はあなどれない気がします

常に国内に命をおびやかす危機が蔓延しているアメリカという国だからこそ
常に戦争を世界中でやってきているアメリカだからこそ
な側面だと思うんですがね

こういう常軌を逸した生命体「ゴジラ」によって攻撃される
そこから始まる政府のバタバタと
そこから始まる次のステージに向かう日本

大きな事件、無理矢理なテコ入れでもないと
日本はもう変われないのでは???
という空気感が今の日本にはある

大ヒットの秘密はそういうことなんでしょうかね?
事実、俺も知っている街が破壊されて行く様を見るのだけは
少し快感がありましたから・・・

 
*****

いまのところこんな温度感と考察で
#SOUL大学 はぐいぐい講義を進めてます
何か文章をどんどん、どんどん書きたいモードになっちゃってます

最新講義は
#SOUL大学 04
〜サザエさんエンディング曲はパクリか引用か〜
日本の音楽シーンの歴史をすっごくかいつまんでですが、
01-04の講義にまとめてます

どうして巷に溢れるポップスはどれも同じに聴こえるのか?
が分かります
マキタスポーツの「すべてのJ-Popはパクリである」よりも一歩踏み込んで記してますよ
この量、内容でひと月1000円は大安売りだと思いますよ

https://salon.synapse.am/salons/soul/timeline

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by jazzmaffia | 2016-10-15 23:17 | SWING-OによるReview | Comments(0)